2011年03月07日

太陽の村 感想 朱川湊人




太陽の村
朱川 湊人
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ハワイへの家族旅行の岐路で遭遇した飛行機事故。
一人生き残ったオタク青年が漂着したのは、不思議な島だった。

という訳で、日本の室町時代頃に似てはいるものの、何かが根本的に違っている謎の島に流れ着いたオタク青年の冒険と成長を描く本作品。最初はタイムスリップか異次元かとわくわくさせてくれたが、終盤の種明かしについてはいささか拍子抜け的なものがあった。
とは言えラノベ的な文体とコミカルなキャラクターが特徴的な作品なので、こういう大掛かりなギミックもありとえばありか。

若干ながらステロタイプなオタク批判のエッセンスは感じたが、作品自体はオタク向けじゃないのでそういうものだと思って読むしか無い。
ただ、一番ラストで主人公に突きつけられた選択肢はなかなか考えさせるものがあった。
俺みたいに自分の限界を知ってしまった人間なら島に残る方を選ぶだろうが、まだ俺は本気になってないだけと思える世代なら帰る方を選ぶかも知れない。
いずれにせよ明確な回答を敢えて作中では描かないところが良かった。



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2010年10月15日

任侠学園 感想 今野敏

任侠学園
今野 敏
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近年よく耳にする教育再生を一風変わった視点で描いた快作。
展開そのものは奇抜さはなく、悪く言えば先が見える部分もあるんですけど、しかし作品のテーマを考えれば変にひねった内容にする必要もないと思う。
とにかく登場人物がいきいきしていて、それだけでも気持ちがいいですね。今野先生の作品で見せパンがどうのこうのなんて会話が読めるとは思ってなかったw
なにぶん自分自身主人公日村に近い世代なので、昨今の激甘教育に関してはこれで本当にいいの?と思うところも多く、かなりの部分で共感しながら読めた。
なお、なにやら前作があるらしいので、そちらも読んでみたい。




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2009年12月24日

香り高く味わう珈琲―おうちがたちまちカフェになる

香り高く味わう珈琲―おうちがたちまちカフェになる
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この手の実用書に"感想"というのもアレなんだけど…。

自分のコーヒーに関する嗜み方に関しては、スーパーで挽いた豆を買ってきて、ペーパードリップで淹れると言う程度。
豆に関するこだわりなんて殆ど無いし、サイホンやエスプレッソと言った特殊な器具を要する方法も全くの未体験。
最も端的に言うと、ブルーマウンテンってアフリカだよね?なんて思っていた程度といえば判りやすいでしょう。つまりはそういう事です。

そういう次第なので、本書の豆の産地に関する蘊蓄などはなかなか興味深く読めました。
アフリカ南米アジア各地のコーヒーの来歴とフレーバーが簡潔に纏められていて、ちょっとコーヒーを買う時ニワカぶってみたくなる…でもそれやったら負けなのでやらない。
本当はミルとかも用意して、豆屋さんに買いに行くレベルに至ってこそなんだろうけど、まあそこまでは無理かな。


豆の蘊蓄の後は基本的なコーヒーの入れ方と、アレンジコーヒーのレシピが約30種が紹介されていて、ちよっとチャレンジしてみたくなる。
あと意外だったのは、この手の本では軽視されがちだと思われるインスタントコーヒーに関してもそれなりのページ数をとって紹介されていた事かな。上記のアレンジコーヒーレシピにしても、面倒ならリキッドコーヒーを使いなさい的な記述もなされていて、そういう意味では初心者に優しい一冊ではないかと思われます。




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2009年10月16日

頭がよくなる速読術―どんな勉強も多分野学習法でスイスイ! 感想


一秒でも本を早く読みたいという希望は書評系サイトをやっている人なら大抵の人が持っていると思います。
僕もご多分に漏れずその口なので、速読系の本では定番といわれる本書を手にとってみました。

ちなみに僕の素の読書スピードですが、だいたい文庫本で見開き30秒程度。改行の多い作風の作家ならもっと早くなりますし、逆にラヴクラフトよろしく文字密度が半端無い作風だともっと遅くなります。
本書ですと、比較的文字が大きいことと、トピックごとに文章が整理されている事、そして実用書ですから小説のように登場人物の名前を覚えたりする必要が無い事もあって30分で読了した程度。まあ、そんなに早いほうでは無いですね。


で、本書の内容ですが、交感神経の異常とかポジトロン云々とか右脳左脳といった程好くオカルトじみた記述が目に付く事、随所に「個人差があって、誰でもイメージリーディングが出来る訳では無い」的なお断りが入っている事など、些か何ぞこれと言うという部分も無きにしろあらずですが、視点の動かし方や視野の拡散拡大といった、本を早く読む上で最低限必要な基礎部分はしっかりと解説されています。

ただ、その基礎部分に関しては個人的にすでにある程度理解しているので、これといって目新しい内容ではないのが残念。もちろんそれは僕自身にとっての話であって、一から始めようと言う人にとっては有用な本である事は間違いありません。
些か抽象的な例え話で頁数を浪費している節はありますし、しかもその抽象的なたとえがあまり適切でなくて、結果として核心部分を若干ぼやかしてしまっているきらいも無いわけではありませんが、入門用としては必要充分でしょう。
この本に出ているトレーニングを軽くするだけで、世間の平均値(本書によると1分400〜600文字)の2〜3倍位ならその日のうちにでも出せるとは思います。
逆に、本書で誇大広告気味に紹介されている分/3万文字とかはあくまで個人の才能の問題なので、あまり真に受けないほうがいいでしょう。ニュータイプ能力みたいなもので、適性が無いと到達できない域です。


なお、トレーニングは目の筋肉がかなり疲労するので、目薬は用意しておいたほうがいいかもしれません。


頭がよくなる速読術―どんな勉強も多分野学習法でスイスイ!頭がよくなる速読術―どんな勉強も多分野学習法でスイスイ!

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2009年10月15日

カンブリア爆発の謎  チェンジャンモンスターが残した進化の足跡




中国澄江で発掘されるバージェス頁岩の愉快な仲間達以上に奇天烈な生物化石を通して、前カンブリア期まで遡って進化の定説を見直してみようと言う一冊。
出版時期が新しい本だけに、これまで植物と動物の中間的存在とされてきたエディアカラ期のベント生物(現在このカテゴリーはありません)が、実は能動的に行動して捕食する動物寄りの生き物である可能性が高い事や、後の三葉虫への進化の萌芽が見て取れるパーバンコリナの存在など、興味深い記述が多数あります。

また、バージェスや澄江で発掘された生物達をイラスト付きで解説するのにも多数の頁を割かれていて、特にベッツリコーア門と呼ばれる謎生物はそのシュールさにおいてアロマノカリスやオパビニアと言ったカンブリア紀のアイドル達?をも凌ぐものが。既存の生物イメージに対する冒涜の一歩手前だよこれは…。


生物学に詳しい人向けにはどうかは判りませんが、なんとなく古生物に興味があるというレベルの人には(まあ、僕自身のことなんですけどね)非常に楽しめる一冊である事は間違いないですね。これを読むと、今まで大概にして奇妙だと思っていた既知のカンブリア生物すら普通に思えて来ます。
あまり難解な専門用語もありませんし、図を多用して読みやすい構成も心がけられていますので、機会があれば手に取ってもらいたい本です。



カンブリア爆発の謎 ?チェンジャンモンスターが残した進化の足跡 (知りたい!サイエンス)カンブリア爆発の謎 ?チェンジャンモンスターが残した進化の足跡 (知りたい!サイエンス)

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2009年08月21日

水中都市・デンドロカカリヤ 感想 安部公房



> 水中都市・デンドロカカリヤ (新潮文庫)
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世の中には言葉にするのが難しい作品が少なからずあったりするのですが、この作品もまさにそう。
一つ一つの作品に込められた作者の思いをぼんやりと汲む事は出来るけど、明確な回答は困難。


この作品に漂う閉塞間や拠って立つ足元が存在しない不安感は、おそらくは執筆された時代背景が大きく関係している様で、戦争が終わって全ての価値観がリセットされたばかりの時期に執筆された作品群ですから、新しい価値観への不安や、ほんの少しまで信じられてきた諸々が一瞬にして崩れ去っていった事への不信感がそのまま作品に表れているのではないかと思ってみたり。
そういう次第なので、見かたによれば政治色も結構強いです。
しかも、その政治色の部分が現代の世の中に当てはめる事も出来たりするから怖い。
60年前から人間のやることなんてたいして進歩しちゃいないと言う事かと思うと、将来進歩する期待も持てなくなってしまうだけに尚更鬱になる。
もちろん期待するだけ間違いと理屈では判っちゃいるのですかね。


全体を通して人間が別の何かに変身する話が多いのは、言うまでも無くあの作家の影響だと思われます。
変身を単にユーモラスなものに感じるか、はたまた人間の在り方について考え込んでしまうか、この辺もたぶん精神状態によりけりなんだろう。
非常に味わい深い短編集ではあるけど、ネガティブ嗜好の人や鬱の気がある人にはあんまりお勧めできない。




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2009年07月02日

アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界 感想

アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界
今泉 吉典
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理由は不明ながらとにもかくにも人類が滅亡(本書の延長線上にあるテレビ版フューチャー・イズ・ワイルドは、2億年後の地球にかつて地球を去った人類――ジメッツ・スムート?――が探査プローブを降下させる所から始まるので、完全に絶滅した訳ではなさそうです)してから5000万年後の地球を舞台に、新しい環境に合わせて進化を遂げた動物達の姿をシミュレートしてしまおうと言う知的好奇心を否応なしに刺激してやまない一冊。

以前読んだ鼻行類と並ぶ、20世紀を代表する奇書と言われているアフターマンではありますが、実は割と真面目に生物学をしていて、所謂"僕の考えた怪獣図鑑"とは一線を画したものがあります。
ネットなどでは奇妙な蝙蝠の末裔であるナイトストーカー(表紙のクリーチャー)や、巨大ペンギンのヴォーテックスと言った押し出しの強い連中が好んで紹介されている為に、まるで怪獣図鑑の様な印象を持たれがちではありますが。

ドゥーガル・ディクソンさんは、現在の生物の生態や形状はほぼ完成されたものであり、何らかの理由によって特定の種が絶滅した場合、別の生物がその穴を埋める形で進化をするという考え方を基本としています。
ですから、鹿が絶滅すると鹿によく似た姿に進化した兎(ラバック)が出現し、猫科の肉食動物が絶滅すればネズミが危険な肉食獣に進化すると言った具合。
開いた穴を埋める方向に進化すると言う考え方そのものはたぶん正しいと思いますけど、姿まで絶滅種に似ると言うのはどうなんだろう。進化はそこまで律儀なものではないと思いますが、どうか。


その辺のことは置いておいて、やはりこの本一番の魅力はその味のある数々のイラストです。
ディクソンさん生物本の最新シリーズであるフューチャー・イズ・ワイルドではCGになってしまい、それはそれで色鮮やかで悪くは無いのですけど、やっぱり手描きのイラストの方が見ていて和むのは事実。
未来生物達のどこかコミカルなイラストだけでなく、各章の間に挿入されている砂漠や森林をイメージした挿絵がまた想像力を掻きたててくれて楽しい。
人類がいなくなっても地球はこんなにも魅力的で美しいものなんだと、厭世的でありながらもどこかメロウな気分に浸ってしまう。


生物学に興味のある人はもちろん、あまり興味が無い人でも充分に楽しめる一冊。
というか、むしろ必読。




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2009年05月19日

虎の道 龍の門〈中・下〉感想 今野敏

虎の道 龍の門〈中〉 (中公文庫)虎の道 龍の門〈中〉 (中公文庫)
今野 敏

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虎の道 龍の門〈下〉 (中公文庫)虎の道 龍の門〈下〉 (中公文庫)
今野 敏

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2.3巻と一気読みしてしまったので、1本の記事に纏めます。
物語自体は完全に一つの流れで続いていたので、1.2.3巻まとめて1つの作品として扱っても良かったかも。


この作品では「格闘技」と「武道」は別の物として描かれていて、ただ単に血沸き肉踊るバイオレンスを売りにした作品とは一線を画する、武術或いは格闘術に対する作者なりの哲学が感じ取れます。
あくまで古流の空手を追求したい英治郎の姿と、90年代以降年勃興した格闘技とその申し子とも言える凱との相克が、まさにそれ。
どちらが強いとか弱いとか言う話ではなく、かと言って道を別ったまま並んで歩み続ける事は出来ないもの。
クライマックスで英治郎と凱が対戦する事となるのは、最早必然であったといえます。

このラスト前対決の面白さは特筆もので、古流空手の英治郎は古流本来の用途…素早く無駄の無い動きで不意を衝き相手に痛打を浴びせるで凱からダウンを取るも、共に打ち合う格闘技ペースに入ってしまうと凱の強烈な一撃は英治郎の肉体に深刻なダメージを与えてしまうという危ういバランス感覚で描かれています。
それはまるで琉球の空手使いが薩摩の剣士に対峙するかのような、剣士が刀を抜く前に痛打を浴びせる事が出来れば空手の勝利、しかし一度刀を抜かれると示現流の連続した鋭い打ち込みはとても徒手空拳では捌ききれるものではなく――と言う構図に似てなくもありません。
結局勝負を決めたのは、凱の連日の豪遊で弱った肝臓を英治郎に攻められた事と言うのがなんとも。まあ弱点を責めるのは常套戦術ですけどね。

とは言え、格闘家として、武道家として己の誇りを賭けて戦う二人の姿は感動するに充分なオーラを放っていて、ちよっと涙腺に来たものはあります。
僕は誰かの死で涙を取ろうとしてもあんまり反応しませんが、ひたむきに自分の全てを賭ける純粋で気高い姿には猛烈に弱い。アレ系ゲームとかで涙腺崩壊するのも得てしてそのあたり。


面白い作品でした。「格闘もの=安易なバイオレンスもの」と言う構図を打ち砕くに充分な名作と言えるでしょう。


虎の道 龍の門 上巻感想

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2009年05月08日

虎の道 龍の門〈上〉感想 今野敏

虎の道 龍の門〈上〉 (中公文庫)
今野 敏
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極限の貧困の中で育ち、ただ金を得る為に格闘家の道を選んだ南雲凱。
裕福な家庭に育ち、真の空手道を究めようと鍛錬と研究に没頭する麻生栄次郎。
90年代初頭、日本の格闘技界に大きな変革の波が押し寄せた時代を舞台に、二人の対照的な若き武道家の姿が描かれる。


実はこの作品、1巻だけノベルスが出た2002年当時に読んでいたのですが、比較的地味な内容とその頃自分の中で格闘熱が急速に引いていく時期だった事もあってイマイチ印象に残っていませんでした。
なにせ2000年代に入ってから格闘技が急速に一般化し、同時にスポンサーにパチンコメーカーが名乗りを上げ始めたというのが嫌で嫌で、今まで楽しみにしていた中継も殆んど見なくなった次第。

正直今現在もかつて程の格闘熱はありませんが、昔集めていた某グラップラー刃牙を再び集め始めてから、熾火の様にくすぶっていた格闘熱に再び僅かながらも酸素が供給され始めた事もあっての再読。

全3巻(文庫版では上中下巻)と比較的短い物語ですが、今改めて読むと作者が描こうとしているのは血沸き肉踊る格闘絵巻ではなく、90年代前半のK-1やアルティメット勃興に始まる格闘技戦国時代の総括なんじゃなかろうかと感じる。
主人公からしてショービジネスとしての格闘技世界で頂点を目指す南雲と、そうした世間の時流からは一歩引いた所で求道者の如く研鑽を重ねる麻生という実に象徴的な二人ですからね。


上巻ではこの二人が直接出会うことはまだ無く、それぞれが別々の場所で自らの道を歩み始めるところまでしか描かれていません。
作者自身ショーとしての格闘技を批判するでもなく、かと言って伝統に固執する格闘技を揶揄するでもなく、ただ淡々と物語は進行するのみ。
ただ、プロローグではこの二人がリングの上で対峙するシーンが描かれていましたので、どういう物語の果てにそこに至るのかは興味深いです。
そしてその先に待つものも。




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2009年01月17日

鼻行類 BAU UND LEBEN DER RHINOGRADENTIA ハラルト・シュテュンプケ 感想

鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 (平凡社ライブラリー)
Harard Stumpke 日高 敏隆 羽田 節子
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太平洋戦争中、日本軍の収容所を脱走した連合軍兵士エイナール・ペテルスン=シェムトクヴィストが偶然発見したという南洋の未開島ハイアイ群島。
長い間外界と隔絶されたその島には他の地域では見られない独自の生態系が完成しており、特にその中でも一際異彩を放っているのが「鼻行類」と呼ばれる小型の哺乳動物。
感覚器官である鼻を移動用の器官に進化させたその小さな生き物達の生物学的なアプローチのもとに生態を詳細に記したのが本書です。

このハイアイ群島は鼻行類の進化の過程を示す種が比較的そのまま生き残っていて、我々が知るげっ歯類に似たムカシハナアルキの様な原始的な鼻行類に始まって、鼻行類の中でも特に鼻を移動器官として進化させた硬鼻類や多鼻類といった変り種まで実に様々な種が見られます。
特に4本の鼻を使って歩行するナゾベームや、鼻を使ってジャンプするトビハナアルキの奇抜さは一度見たら忘れられないものがあり、生物界に於ける進化の悪戯(としか言いようが無い)にひたすら驚かされるばかり。

しかし、この奇跡とも言える生物を育んだハイアイ群島ですが、島に滞在している研究班にすら情報を知らされず行われた水爆の実験が原因で水没してしまい、鼻行類とその研究資料の多くが永遠に失われる事となってしまったそうです。
アメリカが…アメリカが…!





な〜〜〜んて、全部嘘っぱちなんだけどさ〜〜〜〜〜


ええ、この本は思いっきり嘘生物学本です。
しかし、ただの嘘と切り捨てるには余りに完成度が高く、多分生物学に関心のある人が読んでも(というかそういう人向けな気がする)充分楽しめる内容。
ドゥーガル・ディクソンの一連のシリーズが好きな人とかも確実にこの奇妙な生き物達の虜になると思います。
間違いなく20世紀最大の奇書。読むべし。読まないと損。
以前は比較的高価な博品社のハードカバーしか無く、しかも絶版で入手困難でしたが、現在は安価な平凡社版が出ているので入手は割と容易だと思います。





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2008年11月11日

機動戦士ガンダム大図鑑 1 ザンスカール戦争編 上 感想

機動戦士ガンダム大図鑑〈1 ザンスカール戦争編 上〉 (電撃EBシリーズ)
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数あるガンダムシリーズの中でも好きな作品御三家の一角であるVガンダム。
(ちなみに他の二つはZガンダムと08小隊。もしかすると00もその域に到達する可能性がある)
主人公が歴代最年少である事や、玩具展開を意識してデザインラインが簡略化されたガンダムの存在など、評価が分かれる作品ではありますが、内容の容赦無さに関しては間違いなくシリーズ中一番ですし、簡略化されたデザインも"量産を前提としたガンダム"という図式にしっかりとマッチしていて、個人的にはゴチャゴチャしたガンダムよりも理に適っていると感じています。MSは兵器ですから、生産性と整備性こそが一番大切です。

本書によるとVタイプはパーツも極力規格化されたものを使用して戦場での整備性を追及しているという事で、兵器としての合理性も勿論の事ながら、バックに企業や連邦組織の一部が付いているとは言えあくまで民兵組織であるリガ・ミリティアに相応しい設計と言えるでしょう。

と、初っ端から飛ばし気味ですが、本書は物語の設定紹介1割、キャラクター紹介2割、MS紹介7割…とガンダムの設定資料集における黄金律に極めて忠実な構成。
やっぱりガノタたるもの興味の中心はMSと言う兵器にある訳でして。

あまり人気があるとはいえないザンスカール系MSですが、設定画で見るとなかなかに良く纏まったデザインなのが判ります。恐竜的進化の果てに運用思想すら曖昧になっていたアクシズ系MSに比べると、用途が比較的明確に見て取れる形状であり、ゾロ→トムリアットの流れの様に欠点を改善する方向で新型が配備されているのも興味深い。
というかトムリアットはかなり好きなMSなので、何時HGUCで出るのか楽しみにしている訳ですが。
1/144だとかなり小さくなってしまうので、この際MGで変形も完全再現というのもアリですね。
MGトムリアット…想像しただけで濡れるw


この手の副読本は作品そのものを視聴してある程度時間を経てから読むと、おぼろげになった記憶を刺激して趣深い。
細かい部分はすっかり忘れてしまっていて思い出すのは時系列すら曖昧になった断片的なシーンばかりですが、それがまた作品に対する感心を再び喚起してくれる訳です。
そして、これはまだ作品の細かいディティールが記憶に残っているうちだと味わえない感覚でもあります。
昔のゲームの攻略本を読む事でかつての冒険を追体験する感覚に似ているかな?


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