第一次世界大戦から第二次世界大戦までに登場した主要な戦闘機の性能諸元を数値化し、比較する事でその時代ごとの最優秀戦闘機を割り出そうという遊び心溢れる一冊。
あくまでスペックを元に出された数値ですので、実際に大活躍したかどうかというのは別の話です。
どんなに優れた機体でも運用が拙いと活躍の場はありませんし、逆に平凡な性能でも運用次第ではスペック以上の活躍を果たす事があります。
例えばソ連にレンドリースされたP-39は東部戦線の低空での戦闘においてはスペック以上の働きを見せ、ドイツのBf109Gあたりとも互角以上の勝負をしていますし、F4Fワイルドキャットも英軍仕様のマートレットはやはりBf109Gと良い勝負をしている訳です。フィンランドの空の真珠に至ってはもう別次元の活躍ぶりですし。
ただ、数値化に関してもややおかしな部分が無い訳ではなく、例えば機関砲の攻撃力をそのまま口径だけで数値化しているのはやや納得がいかないかな。零戦の20ミリと、飛燕I型丙のマウザー砲が同じ数値だとかありえない。
ま、その辺も差し引いて、数字遊びとして楽しむのが吉かな。
さて、本書は著者が一部古い資料を使用してしまった為に、非常に大きな問題点があります。
それが、その道の人の間で散々言われている紫電改最強説。
もっとも、それでも著者は総括的に最も優れた機体はP-47であると結論付けており、その点に関しては個人的にも大いに同意したいところです。
もしWWU限定で、好きな飛行機に乗って戦えといわれたら迷う事無く選びますよ、サンダーボルト。マスタングでもフォッケウルフでもない。
ま、総じてドイツ機の順位が低めになっていて、その点がドイツ好きの逆鱗に触れて、紫電改に纏わるエラーを大げさに騒ぎ立てられたのかなあと言う気も…ああ怖い。