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前回はこちら「地球から来た傭兵たち」読書日記もいよいよラストとなりましたよ。
さて、リック&ティララ連合vsパースンズ&サラコス同盟との最終決戦だけど、決戦を前にしてリックはグゥエンに意外な真実を教えられる。
彼女は、リック達をトランに連れてきた宇宙人のエージェント(地球人)の恋人だったんだけど、その恋人から色々宇宙人たちの不穏な目論見をこっそり聞かされていたんだよね。
曰く、何故トランの文明が地球より大きく遅れているのか――。それは、彼ら宇宙人にとってトランの人類が高度な文明を築く事を望んでいないからで、だいたい6百年周期で地球人を拉致してトランに連れてきていたんだけど、リック達の前に来た地球人・・・つまり1600年代に連れてこられたはずの人類に関しては全く痕跡すら残っていない。それ以前に来た人々は今では地球から失われている筈の貴重な史書を持っていたり、地球にいた当時の記録が伝承として残っていると言うのに、何故?
答えは、抹殺されたから。
文明の進歩を望まない彼らは、地球人が文明を築きかけると核攻撃で消していたらしい。
とんでもない話だな。
しかし本来地球人をこの惑星に連れて来た宇宙人達(シャルヌクシと言う)は、銀河同盟という巨大な宇宙組織の一員であり、当然トランで彼らが秘密で行っているケースは同盟にばれると大変な事となる。
或はそれ故に彼らより短命で文明の発展が早い地球人を定期的に核で抹消していたのかも知れない。
とにかく、そういう裏があると分った以上同じ地球人同士で殺し合いをしている場合ではないと言う事で、リックはパースンズに面会を申し入れる事にした訳。
タマエルソン重鎮達の反対を押し切り、パースンズとの面会に赴くリックに同伴を申し出たのはティララ。どうも二人は互いに愛し合っているらしいけど、ロマンス小説じゃないのでその辺は適当に流しますよ(笑)。
人気の無い夜の丘で再開したリックとパースンズ、リックはシャルヌクシたちの陰謀をパースンズに告げ、和解を申し出る。しかしパースンズには「この世界の王になる」という野望があり交渉は決裂、彼はその場でリックを射殺しようとする。
闇夜に響く三発の銃声・・・倒れたのはパースンズだった。
彼を打ち倒したのは意外にもティララ。実はこっそりとメイスンが彼女に銃を貸し、撃ち方の訓練まで受けさせていたのだ。
おお、なんか出番少なくて地味だったけど、結構美味しい役どころじゃんメイスン!
パースンズが倒れた事で部下達はリックに投降し、リック小隊復活!肥料と硫黄その他で作り上げた大量の黒色火薬爆弾でサラコスも吹き飛ばし、遂にティララの怨念は晴らされる。
そして二人は結ばれ・・・めでたしめでたし。
〜fin〜 ・・・ちょいまて。
確かに宿敵サラコスと裏切り者パースンズは死んだものの、シャルヌクシの陰謀は現在進行中だし、ローマ帝国だって一度はリックの戦術に敗れたものの未だ健在だ。
考えてみれば何一つ状況は好転しちゃいない。
そう、リック達の戦いは終わってはいない・・・
と言う訳で、この「地球から来た傭兵たち」には続編があります。
ローマ帝国で発生した内乱により大陸全土を戦乱の嵐が覆う(らしい)「トラン攻防戦」、持ってますがまだ読んでないのでレビューは当分先ですわ(笑)。リクエストがあればやりますけどねー。多分無いだろうけどさ。
総評としては、色々無理が無いわけじゃないけど、これもセンス・オブ・ワンダーと割り切れればかなり面白い作品だと思うよ。最近は考証にとらわれすぎて小さく纏まった作品ばかりが溢れている現状、こういう古典作品の持っている破天荒さが逆に新鮮なんだよね。まさか他所の星にローマ帝国があるなんて誰も思いつかない(笑)。
残念なのは世界観の描写がやや物足りない事かなあ。なまじ歴史を切り取って投入したためか、作者にも「まぁ、歴史上の○×と言う国と同じと思ってくれ」という部分があったのかも知れない。もっとも、世界観の描写を濃くするととても一冊では収まらなかっただろうけど。
さて、次は趣向を変えてこじんまりとした雰囲気のラノベで逝く予定ですYo!