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人類の革新を取り扱った作品は色々ありますが、それらの作品では得てして新たな人類と旧人類との確執が描かれています。
この作品も例に漏れず、イカロスと呼ばれる重力を操って空を飛ぶ能力を持った新種の人類と、通常の人類の間の確執がメインとなっています・・・が。
うーん、いきなり政府がイカロス達を監視下に置いて弾圧する法案を通してきたり、その裏には財界、そして世界規模の組織があったりと、どうも被害妄想的な空気を感じてしまう。
イカロス達はただ自由でありたいだけであって、自分達から破壊行為を行う訳ではありません。
なのに、政府が新法を作り、最終的には自衛隊までも動員してイカロス殲滅を図る。
その理由たるや、イカロスは異物だから、社会の枠組みからはみ出しているから・・・だそうで。
権力者達をとにかく悪者に描きたいと言う、そんな気配が漂っています。
何と言うか、まずは「自由を求めるマイノリティを力で押さえつける悪逆非道な国家権力」という構図ありきで組み立てられた物語としか思えないんですよね。
うん、これはどちらかと言うと若い人向けですかね。
権力=悪、何者にも縛られない自由=善という構図は、正直10代の頃ならいざ知らず、この歳になるとちょい受け入れがたいです。
ただ、単なる反抗ものに終わらさず、人の進化の方向性に持って行ったラストは秀逸です。
この点のみマイ評価高し。
余談ですが、今の僕にとっての善悪とは。
自分が得な事=善
自分に損な事=悪
ですwww
ラベル:書評