神狩り (ハヤカワ文庫 JA (88)) 山田 正紀 早川書房 2000 売り上げランキング : 77547 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
山田正紀を語る上では絶対に外せないとの評判なので読んでみました。
実質的な氏のデビュー作であり、また氏の作品でよく取り扱われていた、神(というよりは人類よりも高次の存在)と人間の相克を描いた初の作品・・・つまりは一連の山田ワールドの原点とも言える作品です。
謎の古代文字で書かれた壁画の解読を通して、その文字を駆使していた高次の存在へと迫ると言う着想が新鮮。
13の関係代名詞と2つの理論記号で構成されたその言語は、人類の思考ロジックでは理解できない・・・つまり人類よりも次元の高い存在が使っていたものと判明します。
そして、更に解読を進めようとすればする程、秘密に迫ろうとすればする程に、関係者が不可解な死を遂げていく。
高次の存在・・・ぶっちゃけると神ですが、その神の悪意を伴ういたずらの様になものに巻き込まれて抜き差しならない状況に追い込まれていく緊迫感、そして、神に対して戦いを挑む悲壮感・・・とにかく内容が濃いです。
派手なアクションがある訳でもないのに、一切冗長さを感じさせません。
頁数250程度なので、テンションを維持したまま一気に読んでしまいました。
ただ、ラストは思いっきり投げっぱなしで、実に煮え切らない。
主人公がいよいよ神に挑む決意をしたところで、戦いはこれからだ!とジャンプの打ち切り漫画みたいな形で終わってしまっています。
もちろん、人が簡単に神に勝てる訳もないし、かといってあっさり「神罰」でもって全滅しましたと言うのも物語的にどうかとは思います。
しかし、理屈ではここで終わるのがベストと判っちゃいるのですが、感情のほうが納得してくれないと言うか。
どうしてくれるこの感情。
と、思ったら数年前に続編が出ていた模様なので、読んでみようと思います。
大風呂敷をどう畳むつもりなのか、ちょっと怖いですがw
ラベル:書評