Missing 神隠しの物語 甲田 学人 翠川 しん メディアワークス 2001-07 売り上げランキング : 54921 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
かなり前に陰法師さんにお勧めされていた本です。
なかなか読む機会が取れずにいましたが、ようやく1巻読破しました。
一読した感想。
なんという邪気眼ラノベ
この迸る邪気眼テイストは、「断章のグリム」もほぼ同じ。
しかし、「断章」では作者自身がもう、悪ノリ全開になってしまっているのに対して、こちらではまだ、どこか冷静さを感じる部分がある気がします。
例えば、邪気目使いは漏れなくイジメの餌食にされる点なんかは、よく判っているじゃないかと頷いてしまいました。
邪気眼を周りの皆があっさり受け入れて、ヒーローになるのではなく、変人として、異物として排除される。
妙なあだ名で呼ばれる。
至極当然の事です。
自覚の無い中二病患者が物語を書くと、得てして邪気眼持ち=ヒーローという構図を取り、願望充足装置としての物語を延々と紡ぎ出します。
対して、確信犯的中二病患者の場合は、邪気眼持ち=紙一重な人という原則を踏まえた上で、自虐的なネタに満ちた物語を紡ぎ出す。
簡単に言うと、「痛い」小説ですね。
陰法師さんの仰られていた、「精神的な痛さ」の意味、よく判りました。
魔王閣下の、理論だけで世の中を判断しようとする言動とか、思わせぶりな口調とか、まだ中二病と言う言葉が根付いていもいなかった当時に、よくこれだけテンプレ通りのキャラ造形が出来た物だと感心します。
物語的には1巻は、どことなく煙に巻かれた感じのまま終わっちゃいましたが、それでもオカルト方面の造詣の深さや、理論の組み方等には非凡な物を感じます。
「断章」に比べると、主人公達は事象に対して能動的に働きかけられる力を持たない人たちばかりなので、カタルシスはあまりありません。
しかし、読後にモヤモヤとした不快感(褒め言葉ですよ)が残るあたりは、作者の術中に嵌ってしまった故か。
後は、もう少しホラーっぽさがあればいいかな。
私はこのシリーズを全て読んだのですが
ホラーっぽさは5巻あたりから良くなりますよ
私のブログでこの作品の名言を紹介しているのでよかったらどうぞ
ブログ拝見しました。確かに名言の多い作品ですよね〜。
この1巻の、魔王閣下の恋愛論は、彼がいかに硝子の様な繊細で傷つき易い、純粋な心を持っているのかがよく現れていました。
物欲だから何か問題でも?と思ってしまった僕はもう汚れているのかも知れませぬ。
で、もし宜しければブログをリンクさせてくださいませ。よろしくお願いします。