2008年03月02日

Missing 神隠しの物語 甲田学人



Missing 神隠しの物語Missing 神隠しの物語
甲田 学人 翠川 しん

メディアワークス 2001-07
売り上げランキング : 54921
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



かなり前に陰法師さんにお勧めされていた本です。
なかなか読む機会が取れずにいましたが、ようやく1巻読破しました。

一読した感想。

なんという邪気眼ラノベ

この迸る邪気眼テイストは、「断章のグリム」もほぼ同じ。
しかし、「断章」では作者自身がもう、悪ノリ全開になってしまっているのに対して、こちらではまだ、どこか冷静さを感じる部分がある気がします。

例えば、邪気目使いは漏れなくイジメの餌食にされる点なんかは、よく判っているじゃないかと頷いてしまいました。
邪気眼を周りの皆があっさり受け入れて、ヒーローになるのではなく、変人として、異物として排除される。
妙なあだ名で呼ばれる。
至極当然の事です。

自覚の無い中二病患者が物語を書くと、得てして邪気眼持ち=ヒーローという構図を取り、願望充足装置としての物語を延々と紡ぎ出します。

対して、確信犯的中二病患者の場合は、邪気眼持ち=紙一重な人という原則を踏まえた上で、自虐的なネタに満ちた物語を紡ぎ出す。
簡単に言うと、「痛い」小説ですね。

陰法師さんの仰られていた、「精神的な痛さ」の意味、よく判りました。
魔王閣下の、理論だけで世の中を判断しようとする言動とか、思わせぶりな口調とか、まだ中二病と言う言葉が根付いていもいなかった当時に、よくこれだけテンプレ通りのキャラ造形が出来た物だと感心します。

物語的には1巻は、どことなく煙に巻かれた感じのまま終わっちゃいましたが、それでもオカルト方面の造詣の深さや、理論の組み方等には非凡な物を感じます。

「断章」に比べると、主人公達は事象に対して能動的に働きかけられる力を持たない人たちばかりなので、カタルシスはあまりありません。
しかし、読後にモヤモヤとした不快感(褒め言葉ですよ)が残るあたりは、作者の術中に嵌ってしまった故か。

後は、もう少しホラーっぽさがあればいいかな。
posted by 黒猫 at 13:19| Comment(2) | TrackBack(1) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして西由記です
私はこのシリーズを全て読んだのですが
ホラーっぽさは5巻あたりから良くなりますよ

私のブログでこの作品の名言を紹介しているのでよかったらどうぞ
Posted by 西由記 at 2008年04月16日 09:36
西由記さんはじめまして。

ブログ拝見しました。確かに名言の多い作品ですよね〜。

この1巻の、魔王閣下の恋愛論は、彼がいかに硝子の様な繊細で傷つき易い、純粋な心を持っているのかがよく現れていました。

物欲だから何か問題でも?と思ってしまった僕はもう汚れているのかも知れませぬ。

で、もし宜しければブログをリンクさせてくださいませ。よろしくお願いします。
Posted by 黒猫 at 2008年04月16日 22:33
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

み Missing1 名言 ライトノベル
Excerpt: Missing 1 (1) (電撃コミックス)(2005/06/27)甲田 学人商品詳細を見る 思考停止に安住するな お前が自分を馬鹿だと放言するのは自由だ そう思うのも...
Weblog: ライトノベル作家志望 西由記の人間実験
Tracked: 2008-04-16 09:33

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がない ブログに表示されております。