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表紙の童話っぽいイラストに油断したら、実は結構黒い物語でしたw
イマジナリー・コンパニオン。
主に幼児の妄想が作り出す、本人にしか見えない脳内友達の事なんだそうですが、このイマジナリー・コンパニオンが実体化したら・・・というのが本作品のストーリー。
どうせ脳内の存在が実体化するなら、脳内の平べったい嫁が・・・とか思ってしまいますけどそれは置いておいて。
この実体化したイマジナリー・コンパニオンの「あねのね」は、作り出した本人の心の底、普段は理性や常識で覆い隠している嫉み恨み憎しみといった負の感情部分を強く司っている感じです。
ですから、当人が●●に復讐したいと思っていると、本当にあねのねがやっちゃうんですね。
ある程度自分の意思を持ったスタンドみたいなものでしょうか。
ただ、終盤であねのね誕生の秘密が全て明かされるのに関しては、賛否両論かも知れません。
終盤、もう一人のあねのねと戦う事になるので、その前にあねのねとは何ぞやと言う部分をきちんと整理したと言うのは理解できるんですが。
いわゆるワンアイデア作品なので、さほど複雑な謎解きなどはありません。メインは、あねのねと言う厄介な超能力?を手にしてしまった女性の葛藤劇です。
それはそれで結構なことですけど、一つ不満を挙げるとすると、優等生的に全てがきっちりとまとまってしまっている事でしょうか。起承転結に忠実すぎると言っても構いませんね。もう少し羽目を外した部分があっても良かったんじゃ無いでしょうか。
ただ、この手のジャンルは得てしてラストには一抹の不安要素を残すがパターンですが、最後に全てを奇麗に清算してハッピーエンドにしたのは評価したいです。
ラベル:書評