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文学少女シリーズも早6巻。
もともと方向性としては昼ドラ的な修羅場の多い作品ではありますが、ここのところその辺の展開にも若干倦んできていただけに、今回の番外編はとても新鮮な気持ちで読めました。
例の如くどろりとした部分が無い訳じゃありませんけど、美羽が絡まない話なので心葉が割と冷静なのが良かったですね。
この作品、心葉の一人称で描かれるだけに、心葉が精神的に不安定になるとそのまま文章まで不安定になって、読者は置いてけぼり感が強くなるんですが、今回の話では遠子先輩が取り乱していたものの、心葉は宥め役&ツッコミ役に徹していたので、物語の本筋が非常に見易くなってました。
やはりこのシリーズは、変にエモーショナルな描写を重ねるよりも、淡々と進む方が合っていると思うんですがいかがなものでげしょ?
また、いつもの学園モノではなく、古い洋館を舞台に伝奇的なテイストを取り入れた作風も、このシリーズに意外と合っていて、ここ2巻程で僕の中での評価を落としていた当シリーズも面目躍如といった所でしょうか。
いや、単に僕自身が伝奇系の話が好きってのもあるんですけどね(笑)。
それにしても、今回の話って、姫倉一族の因縁話に見せかけて、実は遠子先輩と心葉との物語なんですよね。
シリーズ恒例のモノローグは、最初こそ誰か判りませんでしたけど、どうやら大人になった心葉のものみたいです。これ以上はネタバレ直結なので書きませんけど、この番外編は完結に向けて相当大きな伏線となるかもしれません。
最終巻は・・・また修羅場が予想されますが、竹岡さんのイラストみたいに、静かで透明感のある、そんな作品になる事を期待しています。
評判の好いシリーズなので、読んで損はしませんよ。
ただ、作者が女性の方なのでメロドラマっぽい展開が結構あるのと、元ネタになっている名作文学を知らないと理解しにくい部分が多少ありますので、ほんの少しですが人を選ぶ作品かも知れません。