ドラゴンセンターを破壊せよ〈上〉 (新潮文庫) クライブ カッスラー 中山 善之 新潮社 1990-11 売り上げランキング : 139729 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
初ダーク・ピットシリーズです。
こちらのサイトを見てシリーズに興味を持ったのが読む原因でした。
既に18作もシリーズを重ねており、さて、どれから読むべきか・・・と悩みましたが、敵役に日本が出てくると言う点で興味深いこの「ドラゴンセンター」をチョイス。
舞台は日本がバブルだった時代、そしてアメリカは不況のどん底で、米国版憂国の士が日本叩きに躍起になっていた時代。
それだけに、作品からは日本に対する批判的なオーラがムンムンと漂ってきますね。
現在の日本はまさに当時の米国みたいな状況に陥っていますから、敏感な人はこの本を読むとかなり気分を害する可能性あり。要注意。
とは言え、作者は日本をただ敵視するのではなく、日本の優れた部分は素直に認めています。
例えば、下巻に登場する日本製のロボット達。
姿こそ現在の様な人型ではありませんが、人間と普通に会話が出来る優れた人工知能が搭載されていたりして、ロボット技術では世界最先端である事が描かれています。
また、隅坂に囚われたピット達が食事を振舞われるシーンでは、メニューや作法はかなりアレながらも、日本料理の繊細さや見た目の美しさを描こうとしているのがよく伝わってきます。
これらを見る限り、作者がたんなる日本嫌いのレイシストではないとは思えますが・・・。
物語の方は、良くも悪くもハリウッド的。
こういうものだと思って読めば充分楽しめますが、リアリティを求めると肩透かしを食うかもしれません。冒頭の太平洋戦争末期の1シーンが、終盤の展開の大きな伏線になっている部分とか、物語としては面白いのですが、ご都合的過ぎると言えばそれまででして。
個人的には作者の趣味丸出しのクラシックカーや、古い飛行機がたくさん登場する部分や、章冒頭に、スーパーメカ?や、地下基地の断面図みたいなのが出ていたのが味があって良かった。
あまり難しく考えずに楽しむのには最適かもしれません。
ラベル:書評