2007年12月22日

アルハザードの遺産 新熊昇

アルハザードの遺産 (クトゥルー神話大系シリーズ)アルハザードの遺産 (クトゥルー神話大系シリーズ)
新熊 昇

青心社 1994-07
売り上げランキング : 116929
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools





日本人が書いたクトゥルーものということで、不安と期待半々で読みました。
物語は、今やアニメやラノベでもすっかりお馴染みの魔導書「ネクロノミコン」を記したとされる狂えるアラブ人、アブドル・アルハザード(アルハズラッド)を狂言回しにして、古代中東の歴史をクトゥルー神話と絡めて描くと言うもの。

中東の歴史にはあまり詳しくないからかな、黙示録的な展開にも比較的違和感を感じずに読めましたし、グロテスクさや恐怖感を煽る描写もかなり高いレベルで、読んでて生理的な厭々感を存分に味わえました。はい、そういう点では良く出来た小説です。

・・・なんですが、クトゥルー系としては、いささか黙示録的過ぎやしないか。
クトゥルー系の物語の醍醐味とは、「日常と薄皮一枚隔てた深淵」にあると思うんですよ。
少しずつ、薄皮がはがれて行くにしたがって、その下から顔を出す深淵の狂気。
それがこの作品には無い。
古代のペルシャやエジプトが舞台という時点で、既に非日常なんですが、そこにアルハザードと言う胡乱な人物を噛ませている為、読者は身構えてかかる。
最初から深淵が見えてしまっている訳です。
だから、恐怖演出はグロテスクな描写に頼らざるおえません。
また、奉仕種族にすぎない「深きものども」と「父なるダゴン」を混同してしまっている部分が随所に見られるのも残念。
恐怖小説としては良い出来だと思いますが、クトゥルーとしてはちょっとアラが目立った気がします。
ラベル:書評
posted by 黒猫 at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ホラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。