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すいません、この本書店で手に取った時は、いわゆる一つの学園ラブコメだと思ってました。
と言うか、この表紙イラストで内容を当てられる人がいたら、その人はエスパーです。
舞台となるのはファンタジー世界。主人公ノトの目的は「月に行くこと」。
という訳で、ファンタジーなのに宇宙飛行士という摩訶不思議感が漂う物語になっています。
ロケットの解説とか、技術面での描写はツッコミどころだらけですが、あえてツッコミません。
それは、所詮ラノベだから・・・と言うのではなく、物語としてちゃんと纏っているし、それこそ考証に拘りたければハードSFを読めば済む事だからです。
この本は、あくまでSF感覚のラブコメです。
SFっぽいラブコメとはまた珍しい感じですが、最早学園ラブコメは金太郎飴状態を通り越して、飽和状態を迎えつつある昨今ですから、こういう変化球は新鮮ですし、個人的にも歓迎したいですね。
ただ・・・ノトが月を目指す目的というのが、取って付けた感じなんですよね。
確かに序盤から伏線も張られていて、決して破綻している訳ではないんですが、どうにも食い合わせがよくないと言うか。
多分もう少し情報を小出しにして、期待感を煽っていればまた違った感想を持ったのかも知れませんが、目的に関する情報は殆ど出されず、伏線の部分も全てが明らかになってから「ああ、アレはこの伏線だったのか」と言う程度のものなのが問題なのかも。
他の部分、例えばノトとレンビアの判り易いツンデレ掛け合いはベタながら微笑ましいですし、宇宙に行くロケットにしても、3つの国が協力する事で初めて成功するという展開はこれまたベタながら感動。後半はページを繰る手が止まらない面白さでしたし、読後感も非常に爽やかです。
トータルで見れば充分面白い作品でした。
ところで続編も決定しているそうですが、やっぱり今度は火星なんですか?