2007年11月01日

王の眠る丘 牧野修

王の眠る丘 (ハヤカワ文庫JA)王の眠る丘 (ハヤカワ文庫JA)
牧野 修

早川書房 2000-01
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牧野修氏の事実上の出世作。
近年のホラー作家としての牧野氏しか知らなかった為か、正統派ファンタジーなのに驚きました。
伏線の張り方、世界観の描写、登場人物の造形、どれも特別秀でていると言うものでもありませんが、その分堅実に纏められていてバランスの良さを感じます。逆に言えばまとまりが良すぎてインパクトに欠けるとも言えかも。

内容はというと、主人公の住む町を滅ぼした黄武神皇を倒す為に、3年に一度行われる神皇主催の大陸横断サバイバルレースに参加するというもの。神皇のいる天府は呪術的な結界に守られていて、招かれた者しか入ることが出来ない。故に、神皇を倒す為にはこのレースに優勝し、天府に招かれないといけない・・・という設定。
大陸横断レース自体は某SBRに似ていますが、世に出たのはこちらのほうが圧倒的に早い。
レースの参加者達も、我侭な隣国の貴族の子息や、霊の国に滅ぼされた少数民族、思い過去を持つ老夫婦など様々で、それぞれの書き分けもちゃんと出来ています。
ただ、ページ数の都合だと思いますけど、もう少し掘り下げて欲しかった人物もちらほらと。特に王充とか。

あと、ラストの部分がやや唐突に感じました。
確かに最後まで読んで、再び序文を読めば成る程そういう事かと思えるんですけど、それで唐突感がぬぐえる程の物でもなく。出来れば中盤辺りからあの結末を臭わせる伏線を埋設して欲しかった。
終わり方自体は、あれで良いと思うんですよ。主人公があの後どういう人生を歩むのか、そしてどの様な数奇な運命を経てああなってゆくのか、そこまで懇切丁寧に描く必要も無い訳ですし。
強いて言うとレース中に見たあれとかの知識が、その後の彼を支えたのかなとも。

尺の都合でやや描き足りない部分はありますが、物語としては良く纏っていて面白かった。
近年の牧野氏の様な猟奇性は殆ど無いけど、そのぶんどんな人でも楽しめる作品だと思う。


ラベル:書評
posted by 黒猫 at 18:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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