2007年09月09日

極北のハンター(上下) ジェイムズ・バイロン ハギンズ

極北のハンター〈上〉極北のハンター〈上〉
ジェイムズ・バイロン ハギンズ James Byron Huggins 田中 昌太郎

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極北のハンター〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)
ジェイムズ・バイロン ハギンズ James Byron Huggins 田中 昌太郎
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世界有数の大富豪にして自然を知り尽くし、秀でたトラッキングと呼ばれる追跡技術を持つハンターの元に現れた謎の男達。彼らはハンターにある事件に関する協力を求める。
アラスカの米軍施設に現れ、多数の兵員を殺害し、施設を壊滅させた謎の怪物を抹殺する上で、彼の持つトラッキング技術が必要だというのだ・・・。


いわゆるモンスターパニックもの。ハリウッド映画では既に一つのジャンルとして定着していて、今更新鮮味がどうこうというモノでもありません。既に大枠は固定化されており、ある種の予定調和の中で楽しむべき作品です。なので、設定がありがちとか、手垢が付いている、という類の批評は見当外れです。まあ、設定や手垢云々言っちゃうと、ほぼ全ての小説がそんな感じであり、キャラの個性や地の文の奇抜さで差別化を計っているのが現状だと思う訳ですが。

という訳で、本作は基地を襲った謎の怪物と、それを追うハンターと仲間達との死闘を上下巻に渡って延々と描く物語です。上巻はアラスカ山中での怪物との追跡劇、下巻は基地で怪物を迎撃という風に戦場とシチュエーションを変えることで、追いつ追われつ攻めつ迎え撃ちつと物語にメリハリを付けています。
一応現代のモンスターパニックと言う事で、怪物は軍事施設内の秘密研究所にて人為的に作り出された存在という事になってはいますが、この辺りの与太科学&生物学ぶりに関しては下手に突っ込まない方が身の為か(笑)。
一番笑ったのは、殆どの銃弾を受け付けない怪物の皮膚が、何故か刃物では傷つける事が出来るという設定。要するにクライマックスで格闘戦をやらせるための伏線なんですけど、何故刃物なら傷付けられるのかを解説しているくだりが苦しい苦しい。
ちなみに銃弾は受け付けないと言いつつ、流石に.50口径クラスの弾だとダメージは受けるらしく、バーレットライフルによる攻撃はそこそこ有効です。
しかし、まさかこの部分が下巻であんな展開に結び付くとは予想出来ませんでした。
つまり、下巻は


 大 口 径 祭 り


状態。バーレットはもちろんウエザビー.454だの、M96.50口径ライフルだの、デザートイーグル50AEだのフリーダムアームズかスタームルガーか判りませんが.454カスールのリボルバーだの、これでもかと言わんばかりの大艦巨砲主義花盛り。
M16なんて豆鉄砲はすっこんでろと言わんばかりの勢いです。
大口径とドリルは男の浪漫。その意味で本作はかなりピンポイントなツボを突いています。僕の。
もちろん、そういう頭のおかしい人向けの要素ばかりでなく、例えばトラッキングに関する描写などはなかなか細かく描かれていて説得力がありましたし、物語のテンポの良さや、知能を持つ怪物との駆け引きの緊迫感など、娯楽作品としてのポイントはしっかりと押さえられています。
あまり細かい事を気にせず楽しむ向きには水準以上の作品ではないでしょうか。


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ラベル:書評
posted by 黒猫 at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 冒険 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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