2007年09月03日

文学少女と慟哭の巡礼者 野村美月

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫 の 2-6-5)“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫 の 2-6-5)
野村 美月 竹岡 美穂

エンターブレイン 2007-08-30
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ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん!


いよいよ大詰めとなった文学少女。
今回は1巻当時から何かと心葉に暗い影を落としてきた美羽との決着編となります。
なので、今までの巻の様なミステリー色は陰を潜め、全編通して葛藤の嵐。死人は出ませんが、相当疲れる話になりますのでこれから読もうという人は覚悟してください。

と、そういう展開なので、序盤から恐ろしくエモーショナルな心情吐露が延々炸裂し、何か自分の好みの方向性とは180度違ってきたなあとゲンナリした訳ですが、幸い中盤に入って来ると割と落ち着いた(でも沈鬱な)雰囲気になってきて、終盤はかなり静かな展開となりました。
一般的な物語の盛り上げ方とは逆のパターンで来た訳ですが、これは意表を突かれた感じですね。
最初の100ページ位は、正直な所最期までこんなチープで扇情的な描写が続くなら読むの止めようかと真剣に悩みましたが・・・終盤ドロドロさせずに綺麗に纏めるために敢えて序盤に荒れる展開を持ってきたんでしょうね。
そして終盤に荒れさせなかったのは、野村さんの宮沢賢治に対する敬意の表れだと思います。尊敬しているからこそ、ドロドロした展開の部分で宮沢賢治の作品を引用するのを避けたのではないかと。

もっとも、締め方としてはやや強引な部分も無い訳ではありません。特に美羽に関しては、家庭の事情がどうとか言う以前の問題な気がしますね。悪いけどこの子には全く同情できない。それこそ、

「こいつはくせえーッ!ゲロ以下の匂いがプンプンするぜーッ!!こんな悪には出会ったことがねえほどなァーッ!環境で悪人になっただと?ちがうねッ!!こいつは生まれついての悪だッ!」(スピードワゴン談)

という感じです。一時的に感情に任せて改心した雰囲気に見えたとしても、基本仕様は変わらないでしょう。この先も一生小悪党として頑張ってくれとしか言い様がありません。
ちなみにポリフォニカ白に登場したミナギといい勝負な気がします(笑)。
あと実は黒幕だったあの子については、あまり必然性を感じませんでした。

でもまあ、美羽がそんなだからこそななせタンが輝く輝く。
ななせタンはツンデレであり、ヒート属性でもあるんですね。恐ろしく歩く萌え要素ですな。
本当、心葉は胸倉掴んでやりたくなる程の幸せ者ですよね。
理解のある家族、思いやりのある友人、不器用だけどまっすぐな彼女、そして正体不明だけど常に彼を導いてくれた先輩・・・こんなガチ布陣が身近にいるなんて、ありえない位に幸せな事です。

終わってみれば今回も大いに楽しめた文学少女。
あのタイミングで雨ニモ負ケズを持ってくるなんて反則です(涙)。
ちなみにこの本ではカットされた
「東ニ病気ノコドモアレバ行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニソウナ人アレバ行ッテコハガラナクテモイイトイヒ
北ニケンクワヤソショウガアレバツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒデリノトキハナミダヲナガシサムサノナツハオロオロアルキ」
の部分が一番好きだったりするんですよね〜。


・・・ところで、心葉の夢の中でラヴクラフトを熟読する遠子先輩が素敵すぎる件について。
「インスマウス〜」も血族モノっぽくてウエットな感じが日本人向けな作品ですが、個人的には「狂気の山脈にて」が一番好きですね。次いで「未知なるカダスに夢を求めて」かな。
あと世間では賛否両論のオーガスト・ダーレスによる体系化は個人的には評価する立場で、例えば氏の「永劫の探求」なんて、その壮絶な大風呂敷が痛快で痛快で、まさによくやった!です。
何かホラーな遠子先輩ものを短編でもいいので、真剣に書いて欲しいんですが・・・。






posted by 黒猫 at 21:47| Comment(0) | TrackBack(7) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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