2007年08月25日

水霊 ミズチ 田中啓文

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水霊(みずち) ミズチ (角川ホラー文庫)水霊(みずち) ミズチ (角川ホラー文庫)
田中 啓文

角川書店 1998-12
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作者の田中啓文氏と言えば、星雲賞を受賞した「銀河帝国の弘法も筆の誤り」や「蹴りたい田中」等の良い意味でくっだらねぇ脱力系作品が多いんですが、これはそれらとは全然違う、読後非常に厭な気分にさせられる作品です。

我々は当然の事ですが、水が無ければ生きていけません。そんな命にも関わる水が、もし人間にとって恐ろしい毒牙を秘めていれば・・・。端的に言うとそういう話です。一応伝奇っぽく日本神話にまで遡って各種設定がなされていますが、根本のネタはバイオホラー。
なので、もちろんグロイです。ぐちゅぐちゅのグロさと、病的なグロさが同居して相乗効果を醸し出していますので、ダメな人は本当にダメだと思う。
この人、SF短編の時もそうだけど、こういう生理的に嫌悪感を感じさせる描写が上手いよな。

で、更に追い討ちをかける如く胸糞悪くさせてくれるのが、主人公の外道さ加減。
良い歳こいた中年男なのに、婚約者には口からでまかせ嘘八百並べ立てて、事件で知り合ったヒロインの女子中学生にちょっかい出そうとして、何かもう最低人間の鑑。
特に指輪イベントの時は、あまりの醜さに吐き気すら覚えた。どうやったらこんな最低人間描けるの?で、そんな最低野郎の癖に、婚約者(ちよっぴりヤンデレ)には最期まで愛されていたし、ヒロインの女子中学生もまんざらじゃなかった風で・・・。まあ、最期の最後でホームレスに転落した姿に心の中で喝采したのはここだけでもない秘密。

と、そんな感じで厭描写てんこ盛りですが、それでもぐいぐい読ませるストーリー展開は流石。
厭描写すらも、厭だ嫌だと思いながらそれでも読ませてしまう不思議なパワーを持ってます。
一つケチを付けるとすれば、終盤で生物学的な解釈と、超常現象的な解釈を無理に組合そうとして失敗している点が気になった。どっちか一つに絞ればよかったのに、わざわざ水と油を混ぜようとして失敗したと言うか。この辺りがSF畑の人間の悲しい性と言うか。(デビュー当時はラノベ作家だったらしいけど)
ラベル:書評
posted by 黒猫 at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ホラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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