![]() | 十八時の音楽浴―漆黒のアネット ゆずはら としゆき; 海野 十三 小学館 2007-06-19 売り上げランキング : 112668 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
元ネタになった作品の作者が海野十三。
氏は戦前戦中に空想科学冒険小説とでもいう様な、簡単に言うとワクワクドキドキのあまりエレクチオンしてしまいそうな(違)作品群を多数発表したものの、現在ではその作品を実際に読む機会は殆どありません。一応青空文庫で読めますが、PCで読むのはなかなか疲れる為に途中挫折した事が何度も。
ちなみにPC上での長いテキストをそのまま読むのは精神的にも肉体的にも宜しくないので、テキストビューワーを使っています。最近はどんなソフトがあるのか調べてないのでよく判りませんが、僕は昔から「窓の中の物語」という縦書の文庫本スタイルで読めるフリーソフトを使ってました。
今は作者の方のHPも無くなって公式には配布されていませんが、探せばまだどこかにあると思います。
で、感想。「火葬国風景」「十八時の音楽浴」「漆黒のアネット」の三編で構成されていて、この3つの作品は雰囲気も時系列もバラバラですが、続けて読むと一つの枠内の物語である事が判ります。
特に導入編となる「火葬国風景」は、昭和の未成熟であるが故に何でもアリな雰囲気が滲み出ていて、「跳訳」シリーズの第一作を飾るにふさわしい一編。この話に関しては昨今のラノベフォーマットよりも当時の雰囲気を重視しているのも、シリーズの在り方を象徴しているようで興味深い。
二話目で表題作でもある「十八時の音楽浴」になると、ぐっと今風のラノベテイストが強くなってきますが、それはあくまで登場人物や場のノリを「らしく」しただけで、芯の部分は奇想天外空想科学のままぶれていません。もっとも、ぶれちゃうと「跳訳」である必然性が全くなくなっちゃうんだから当然と言えば当然か。
そして3話目の「漆黒のアネット」は、著者ゆずはら氏オリジナルの短編ですが、本来全く別の物語だった「火葬国風景」と「十八時の音楽浴」を、関連性のある物語に再構築した総括として、重要な意味を持つ話になっています。
うん・・・しかし「十八時〜」はラノベでここまで書いて良いんかい?という位にエロいな。
こ の 性 欲 魔 人 め !
もちろん、それはエログロを多分に意識しているんだと思うけど、作者の趣味も結構入っている気がしますなあ。とりあえずペン、俺と替わってくれ!(笑)
・・・それはともかく。
作者も後書きでほんの軽く触れていますが、この企画が昨今の特定ジャンル一辺倒なラノベ界に漂うマンネリムードを一掃・・・は無理でも(笑)、ある程度のカンフル剤になればなあ、と思います。
一作目である「十八時〜」は、充分今後に期待を持たせられる完成度でしたので、今後の流れに期待!ですね。


