また奴らなのね・・・
今回のターゲットは、アトライド社と言う民間軍事会社です。
先のイラク戦争でも、占領地の警備に多数の民間軍事会社が現地入りしていたので、近年では存在を知る人も多いんじゃないかと思います。
で、作中のアトライド社ですが、警備のみなならず政情不安定な地域で、クーデターに積極的に加担したりと、低強度紛争(LIC)をお膳立てして荒稼ぎをしていると言う難儀な組織。
それに従って物語の舞台もいつものパリではなく、ウルジアなる小国になります。
名前からするとグルジアみたいですが、雰囲気は著しく南国ムードなので、中南米のどこかって感じでしょうか。
まあ、今回の依頼自体は人道的に考えても至極妥当なものなんですよね。
ある国に別の大きな組織が肩入れして内戦を・・・という構図は、最近だとスーダンのダルフール紛争なんかがそれに該当しますかね。もっとも、このケースではスーダン政府とその影響下にある民兵組織による反政府勢力への徹底したジェノサイドを支援しているのは民間軍事会社なんかじゃなくて、中華人民共和国という巨大国家だったりする訳ですが、まあ今の中国は国家と言うよりは極めてインモラルな営利団体でしかないので例えとしてはそんなに不適当でもないでしょう。
ともあれ、小国での低強度紛争というのはジェノサイドとセットになっている場合が多く、そんなものに加担すると言う事はいわゆるA級戦犯以外の何者でもないって奴です。
そういう次第なので、こんな会社は一日でも早く潰れた方が世界平和のためにも、内戦で命を落とす多くの人たちの為にも望ましい事ですね。
ただ、道義的には間違った事ではないとしても、そのままでは物語としてありふれた勧善懲悪にしかならない。それはこのアニメの方向性ではない・・・という訳で、社長の娘を登場させることで、私人としての社長は良き父親という風に演出していますが、はっきり言って上手くいってません。
これまでにアトライドが起こしてきた紛争で命を落とした人々にも家族はいます。社長だけが特別だったりはしません。「家族」という要素が霧香の心にトゲを刺す様な描写はあったけど、やっぱり社長のこれまでの所業を考えれば撃つのを躊躇する必要など全く無い訳で。
これならむしろ全編通して銃撃戦という展開の方が良かったのでは・・・?
まあ、一応はまたしても影からNIORの行動を妨害していると思われる例の人物が登場して、アトライド側にNOIRの潜伏先を教えるなど、伏線の埋設は着実に行われている模様。ですが、本編の脚本が薄いのを補えるほどではありませんでした。
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