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酔いどれ探偵ミロ・ミロドラゴヴィッチシリーズ4作目だそうですが、この著者の作品は実はこれが初めてです。
シリーズと言うことも知らずに手に取った訳ですが、解説によるとシリーズ1作目が世に出たのは実に26年前。
そして最新作であるこの「ファイナル・カントリー」が4作目。
物凄い寡作シリーズです。
しかし、多分ですが、ここまで寡作なのに巻毎の関連性を強くすると、読者は新刊を買っても前の巻の話はあんまり覚えてなくて混乱必至でしょうから、基本的にはどの巻からでも楽しめる話なんじゃないかと勝手に決め付ける事にします。
よし、これでOK。
で、感想。
冒頭のシーンが思いっきりチャンドラーのさらば愛しき女よを意識したのか、大鹿マロイもどきが登場してびびりましたが、そこからの展開は一気にチャンドラーとはかけ離れた世界に。
この酔いどれ探偵、60歳目前(終盤で60歳になってしまいます)なのにやたら元気。撃つ、殴る、走る、抱く・・・そして酒もクスリも何でもござれ。こう書くと実に下品で俗な感じがしますし、実際俗な部分が強めですが、本来関わらなくても何ら問題のない事件に、おせっかいで首を突っ込んでしまう辺りは微妙にマーロゥ的です。
上でチャンドラーとはかけ離れた・・・と書きましたが、実の所そんなに大きく離れたものではありません。
21世紀の作品ですから、登場人物も世界観も極めて「現代的」な感性を持っていて、表層的には異なる雰囲気を醸し出していますけど、読み込めば底流に流れるものは古典ハードボイルドのお約束に極めて忠実なのが判ると思います。
しかし・・・ちょっと詰め込みすぎかなと感じました。
詰め込みとは言え、大筋は真直ぐ通っていて、読み手が混乱するものではありませんが、もう少しスリムに出来る筈です。
終盤慌しくない程度に収斂させてはいますが、これはあくまで作者の豪腕によるものであって、いわば力技でまとめたなというもの。密度が高い事は悪いことではありませんが、500ページオーバーの大作で息つく間もないイベントの連続というのは、正直疲れます。
イベント数を減らすか、アクションシーンや会話シーンなどにもう少し行数を割くなりして、緩急をつければ文句無かったんですが。
ちょっと勿体無いですね。
『ことわざのしわざ』という本がとても面白かったので、
ご紹介いたします。
「笑っていいとも!」で共演した人気書家で「達筆王」の森 大衛さんと、
「いいわけ番長」吉野 秀のコラボレーション。
「果報は練って待て」や「向かうところ客なし」、
「いざキャバクラ」など新しいことわざが81個。
酒の肴に、会話の清涼剤に、クロージングのキー・ワードに・・・
使い勝手は300パーセントだと思いました。
黒猫さんは本にとても詳しいですね。私も見習いたいものです。
コメント感謝です。
ことわざのしわざですか〜。検索してみた所なかなか面白そうな内容ですね。
ちなみに「いざキャバクラ」は、深夜に流れている地元の某キャバのTVCMでも遣われてます。
この本が元ネタだったんですね。
この微妙なスベリ感がイイですね。機会あれば読んでみます!
本は「ちょっくら読書でもしてみるか」と、このブログを立ち上げてから読み始めたもので、それ以前は月に数冊読む程度でした。
なので、まだまだ知識は少ないですし、至らぬ部分も多くてお恥ずかしい限りです。
>私も見習いたいものです。
僕を見習うとかなり偏った読書癖が付きますよ(笑)
とは言え、読書好きとしては、活字の本を読む人が一人でも増えてくれる事は大歓迎です。