2007年04月27日

泣き虫弱虫諸葛孔明 酒見賢一

泣き虫弱虫諸葛孔明泣き虫弱虫諸葛孔明
酒見 賢一

文藝春秋 2004-11-25
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実は本書、読了本棚さんの記事でその存在を知り、著しく興味を引かれたのでまずは1巻から読んでみようと思い立った訳です。


本書は小説というよりも三国志・・・とりわけ諸葛孔明を中心に据えた人物論評本という性格が強い。
なんだけど、この酒見版孔明と言うのが、実にすごいんです。
どうすごいかというと、まずはアマゾンの紹介文なんかを引用してみますと、

口喧嘩無敗。いざとなったら火計(放火)の策。神算鬼謀の大軍師か?自堕落、色欲三昧、ヤクザ以下の変奇郎か?諸葛孔明の虚像に迫る、酒見版『三国志』登場。「ほんとうの孔明は、こんな人じゃなかったと思う」


・・・はい、何となく本書の雰囲気だけでも判って頂けたと思います。
全編通してギャグとツッコミの嵐。虚実入り乱れて一体真実は何処に?状態だけど、たぶん一般世間で広く親しまれている横山三国志や吉川三国志だって、虚実混沌とした三国志演義が下敷きになっていることを考えれば、むしろこういうのがあっても何の不思議も無い・・・のかな?

思えば初めて蒼天航路を読んだ時も、自分の知っている三国志とは豪い違い(特に劉備が)で、カルチャーショックを覚えたけど、それに近い感じは受けましたね。
ああ、そう言えば劉備が破落戸の親分みたいな感じな所とか似てなくも無いです。

個人的に一番ウケたのは、英語圏で出版されている三国志を語る章で、まあ高確率で出鱈目書いているんだろうけど、いかにも狩猟民族的なキャラクターに置き換えられた劉備達が、ハリウッド映画みたいなスラングてんこ盛りの罵声を上げつつ、エネミーをキリングしまくって、ジャンゴ!と皆殺しの歌が聞こえてくるシーンは腹の皮捩れるまで笑いました。
これは実際に読んでもらいたい。

と、まあ、かなり好き放題書いている内容ですが、それでも資料を参考に、酒見流に深読みに深読みを重ねてナンセンスギャグに仕立てているので、全くの荒唐無稽と言う訳ではありません。
吉川版でも横山版でも良いので、定番とされる三国志を読んだ上で本書を読むと、こうきたか!と、深読み加減が良く判ると思います。
逆に言うと、三国志は題名位しか知らない・・・と言う人にはちょっと笑い所が摑めないかも。


実に面白い作品です。著しく推薦。
posted by 黒猫 at 21:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・時代物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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