2007年04月10日

死に至る街 大石英司

「あいよ。俺たち、良い仕事をしましたよね?」
「本当の仕事はこれからだぞ」

死に至る街死に至る街
大石 英司

中央公論新社 2007-02
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大石氏得意のウイルス・パニック最新作。
古くはナイトメア、そして一連の合衆国シリーズに朝鮮半島と、世界を舞台にバイオテロの恐怖を描き続けてきたシリーズ?ですが、今回の舞台は北海道。
ロシアで開発された新種の狂犬病ウイルス。それは爆発的な感染力と発症の早さを持ち、何より決定的なワクチンが存在しないと言う恐ろしい生物兵器。
もともとは北朝鮮問題の最終的解決法として開発され、計画ではそれを北朝鮮国内にばら撒き、大幅に人口を減少させた後に体制を打倒する計画だったが、ワクチンが無いという危険さと、そもそも北朝鮮にばら撒いた所で媒介する動物が既に食い尽くされていない(ここ、笑うところか?)という理由から封印状態となっていた。
しかしそのウイルスをロシアと北朝鮮の二重スパイが持ち出し、あろうことか北海道で使用してしまった・・・。

と言う話ですが、本編はいつもの通り、生物災害に立ち向かう住人達や自衛隊特殊部隊の苦闘というミニマムな視点となっています。
戦う相手は感染した野犬や人間・・・と言う事で、雰囲気はまんまゲームのバイオハザードのノリ。倒しても倒しても次々押し寄せてくるキャリアー達はゾンビそのものです。

また、大石氏得意の「少年少女」も登場しますが、今作では殆ど存在感は無し。合衆国シリーズや「ぼくらはみんな、ここにいる」の時の様に、少年少女達が力を合わせて危機の中生き抜くという話、結構好きなだけにちょっと残念。御堂が少年少女達と廃校に立て籠もった時にはそういう展開を期待したんですが・・・ねぇ。

もっとも、普段の上下2巻と違って1冊だけなので、そこまで詰め込むのは無理だったのかも知れない。実際色々削ったと思わせる部分は幾つかありますが、それでも尺が足りなかったのか、事態の終息はあっけない感じでした。
上下巻が無理ならせめて「ゼウス」並みのページ数が欲しかったな・・・。

それにしても氏の殆どの作品を通して登場する陸自の特殊部隊「サイレント・コア」ですが、本来は原発をテロから守る為に組織された(ちなみに初登場作は80年代末位だった記憶が)部隊なのに、深海からやってきた謎の生物と戦ったり、ゾンビ紛いのキャリアーと戦ったり、最近もう何でもアリ状態だな(笑)。
いや、面白いからいいんですけど。
ラベル:書評
posted by 黒猫 at 22:41| Comment(0) | TrackBack(1) | 冒険 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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大石英司 「死に至る街」
Excerpt: 今回は軍事作戦でなく、テロによる対生物兵器。これでサイレント・コアの活躍があるのかと疑問だったけど、ちょっとだけ戦闘がありました。
Weblog: ゼロから
Tracked: 2008-01-03 09:19

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