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まず、本書は「小説」であり、「戦史」ではありません。
戦史だと思って読むと期待外れになりますので注意が必要。
で、上巻の感想。
上でも述べたとおり、ツィタデレ作戦を背景にした「小説」です。ソ連側のメインキャラはコサック兵一家、ドイツ側のメインキャラはスペイン義勇兵。
お互なんとも微妙な存在ですが、これは多分ナチズムやスターリニズムに対して一歩距離を開けた視点から描くという意味でこういう設定となったのだと思います。
実際、互いにそれぞれの独裁者に対して批判的なスタンスを取っていますし。
この辺が実にアメリカ的と言えばアメリカ的ではあります。
むしろガチガチのナチズム信奉者が主人公だったりしてもいいんじゃないかと思いますが・・・流石にそれやるとヨーロッパでは出版できなくなるか(笑)
更にアメリカ的なのは、ソ連軍が妙に和気藹々としている所とか。
ソ連と言えば、嫌味な政治士官や、恐ろしい内務人民委員が闊歩していて、密告告発何でもござれなイメージですら、もっと殺気立って無いと雰囲が気出ません。
そんな感じで、気になるところが多いのも確かですが、執筆の為に作者が本物のT-34に搭乗したというだけあって、戦車の描写はなかなかのものでした。
なおコサック一家の長女カーチャはパイロットとして、女性だけで編成された飛行隊に所属していますが、実にソ連的。
彼女の所属部隊は"夜の魔女"と言う異名を持つ夜間爆撃隊なので、恐らく実在した第588夜間爆撃連隊だと思われます。
ソ連は女性も兵士として前線で戦ったので、女性の撃墜王や戦車エースが何人かいるんですよね。
で、話を戻して、彼女の弟と父親は戦車兵で、同じ戦車に乗っていますが、階級は息子の方が上というのが面白い。この父子のやり取りは本書の見所の一つでしょう。
・・・と言う訳で、何だかんだ言いつつも結構面白いんですが、戦史とは切り離して読むほうが良いとは思いました。日本で言う仮想戦記。これの亜種ですね。
それと、ちょっと色々な要素を詰め込みすぎかな。見ての通り、非常に感想がまとめ難い(笑)。



