2007年03月11日

屍船 倉阪鬼一郎

しかしながら、あいにくこの小説の作者はおとなしい変人ではあるが、せんじつめれば鬼畜であって、この期に及んで改心して筆を投げる事など期待できない。








実に17編もの短編が収録されていて、テーマもばらばら。良い意味で色々な話が楽しめるが、反面一話一話のクオリティもまちまち。傑作怪作入り乱れたカオスな一冊です。


全体的に一話あたりのページ数は少ないので、物語の導入部やオチに唐突さを感じる話しが何話か目に付きますが、反対に唐突さを武器にした作品もあります。それが11話目の「みみづく」。

怠惰な主人公の下に現れた新聞の勧誘員、それは何とみみづくだった・・・。
のっけから何だこれ状態だけど、突っ込みなんて無粋な事はしてはいけない。何せこのみみづく、非常に右に偏った思想の持ち主だったりする。
ほら、もう突っ込む気も失せるでしょ?

この右翼みみづくに契約さされたみみづく新聞、みみづく語で書かれているため最初は何が何だか判らないが、解読を試みて行く内にどんどんのめりこんでしまい・・・気が付くと・・・。

果たして解読できたみみづく新聞に何が書かれていたのか、それは神のみぞ知るという感じですが、あのオチを見るとひところのウヨクブームに対するある種のアイロニーを感じるものがある。
倉坂氏というと恐怖小説というイメージがありますが、これ、ホラーじゃねえよなあ。

他にも最終輪話の「ラストディナーは私と」では終盤直前で故意にオチをばらしてしまう手法を使ったりと、短編ならではの遊び心に溢れているのが特徴。この手のジャンルに弱い人はグロな部分ばかりに眼が行ってしまうかも知れませんが、ホラー耐性のある人ならこの「遊び」が判るでしょう。


例えて言うと、普通にアクセスするとブラクラだけど、スクリプトを切って入れば笑えるネタが仕込んであるとでも言いますか、まあそんな感じ。
はい、斜め上に面白かった。


posted by 黒猫 at 15:56| Comment(2) | TrackBack(0) | ホラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご無沙汰してました(^_^)。
ほんと、この本カオスですよね。
鬼畜な表題作に惹かれて読んだら「みみづく」まであってびっくりみたいな(笑)。
私も「みみづく」はインパクトありました(^^;)。
Posted by ちょこ at 2007年03月19日 16:38
ちょこさん久しぶりっす〜。
ブログ再開されたんですね。暫く更新が停止していましたので心配していましたよ。

みみづくいいですよみみづく。みみづく新聞である!の一言でツボに嵌りました。
倉阪氏は意外とユーモアのセンスがあるんじゃないかと思ってみたり。
サイコ系や鬼畜系も良いですが、ブラックユーモアな作品ももっと読んでみたいです。
Posted by 黒猫 at 2007年03月19日 22:14
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