2007年03月09日

MOUSE 牧野修

そう、毎日少しずつぼくたちはドラッグを血管に流し込みます。ゆっくりと、死に近づくために


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牧野 修

早川書房 1996-02
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牧野氏初期の傑作と評判なので読んでみました。
牧野氏の作品は大きく分けると電波的な不条理世界を描いた作品と、猟奇的な血腥い世界を描いた作品の二つに分けることが出来ます。カテゴリーで言うとSFとホラーという事になるんですが、この作品はどちらかと言うと前者です。

この作品に関しては「特異な言語感覚」がよく挙げられていますが、読んだ感じそれほど特異とは感じられません。
舞台となる廃墟の島ネバーランドは、ジャンキーの子供しか住むことの出来ないという掟があるため、子供という、大人から見たらある意味理解の範疇の境界線上にいる存在と、ドラッグによる幻覚と現実の錯綜という二つの要素が絡まりあって、言語云々よりも視覚的に特異な作品だなとは感じました。

現実と幻覚が錯綜しているため「言葉」によって相手をバッドトリップ状態に陥れるというのがネバーランドにおける闘争の流儀で、その点では確かに「特異な言語感覚」といえなくも無いです。でもやっぱり視覚効果の方が大きいよなあ。

基本的にはネバーランドに住む少年少女を軸に、連作形式で進行しますが、個人的に面白かったのは4話の「モダーン・ラヴァーズ」。これはネバーランドの外・・・つまり僕達の普段暮らしている世界に住む清美という少女が、謎の追っ手をかわしながらネバーランドを目指すという話。話自体はそれほど目新しい物では無いのですが、ネバーランドを外の世界から描くという意味で、本作の中ではイレギュラーなエピソードであり、また外からの視点でもってネバーランドの特異性を強調する事に成功していると思います。

傑作と言うほどではないなというのが結論ではありますが、良作なのは間違いありません。
この人の作品は良くも悪くもアクが強いのですが、この作品は比較的アクが弱くて(牧野氏の作品としては)とっつきやすいので、牧野入門としては最適でしょう。





posted by 黒猫 at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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