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わはは、これ予想以上に面白い。
内容的には、チビハゲオタクの主人公が、コンプレックスの力と引き換えにヒーローに変身して、彼の勤める会社がうっかり作り出してしまった怪人を闇から闇に処分するという話。
テイストはタイトルのとおりいわゆる戦隊モノで、特に目新しいもんじゃありません。ありませんが、どこかズレた登場人物たち・・・主に社長の醸し出す味と、ライトノベル的な文章とで楽しく読めます。
何を置いてもまずは主人公の劣等感描写が痛くて痛くてたまりません。オタクの基本は自虐ネタ・・・と言いますが、本当に基本に忠実です(笑)。
更に戦隊モノのテイストを理解した上で逆手に取った部分が多く、ピンクは冷たい鉄の女だったり、ブラックが冴えない中年だったりと油断が出来ません。
1巻ではまだどうなるか不明ですけど、あの百貫デブの人も何かになるのかしらん。もしかしてブルー?
設定で面白いのは、人間を怪人にする力も、ヒーローにする力も同じ物で、その分かれ道はコンプレックスの強さだと言う事。
コンプレックスの強い人間は怪人ではなくヒーローに変身するけども、もし何らかの理由でコンプレックスが解消されると怪人になってしまう可能性があるという一種の時限爆弾。これは理屈はともかくも、舞台装置としては秀逸だと思います。
1,2巻の二部構成となっている本作、1巻の終盤は伏線の埋設に終始した感がありますが、これが2巻でどう処理されるか、実に楽しみです。
ちなみにこの作者、デビュー作が「歩兵型戦闘車両OO(ダブルオー)」と聞いて何となく納得。00は未読ですが噂は色々聞いております。
プレミア本ぽいですが、確か市立図書館にあったような・・・ま、地元出身の人ですからねー。
以下の記事を参考にさせていただきました。
http://ueda8.blog25.fc2.com/blog-entry-66.html
ラベル:書評