2007年02月03日

狙うて候――銃豪村田経芳の生涯 東郷隆

明治版プロジェクトX
 


狙うて候―銃豪村田経芳の生涯狙うて候―銃豪村田経芳の生涯
東郷 隆

実業之日本社 2003-09
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と、あるブログにて紹介されていた本書に興味を覚えて読んでみました。

最初に本書を手にした時感じたのが、何この分厚さ?というもので、実に600頁オーバーの大作。
村田経芳という人物に関しては、初の近代的国産小銃を設計した人物・・・と言う程度の知識しかなかったので、こんなにページ数必要ないだろうと思っていたのですが、読んでみて納得。
村田経芳の十三年式小銃の開発は、数々の動乱に参加した経験や、明治新政府の元で欧州へ留学し、当時最先端の工業を見聞した経験があって、初めて成し得たものである事がよく判ります。
確かにこれは600頁でもまだ語り足りない部分がある気がする。


それにしても東郷氏は実に渋い視点で明治維新を描いたな・・・と感心しきり。
もともと個人的には、動乱や戦争といったものを描いた作品は、巷に溢れる将軍級の視点でスペクタクルとして描いた物にはあまり関心が無く、もう一歩後ろの、ロジスティックや技術開発といった視点から光を当てる作品の方に強く惹かれます。
それはどうしても高名な将官を扱う場合、そこに美化や、貶めと言った作者の主観が入り込んでしまうからであり、更に言うとスケールの大きなスペクタクル化するが故に作者の政治的思想までもが入り込んでしまい、非常に鬱陶しいからです。
反面こうしたバックヤードからの視点では、スケールも必要以上に大きくならない為比較的資料に忠実に描かれる事が多い気がします。


本書はあまり知られていない江戸期に於ける本邦での銃の発展や、幕末〜明治初頭の日本人に一般的な国家意識などに関して、各種資料を駆使して、近年の俗説とは随分異なる見解を述べている点も非常に興味深い。
特にここ何年か恐ろしく脚色された「明治の日本人」像の俗説が独り歩きしているだけに、ある意味痛快でした。

銃マニアはもちろんですが、歴史ファンにも楽しめる内容です。(ちなみにこの時代に関心を持ったのは、某アニメの影響というのは秘密(笑))


ラベル:書評
posted by 黒猫 at 13:04| Comment(2) | TrackBack(1) | 歴史・時代物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本日、鹿児島県立図書館(鶴丸城二の丸跡地)で
狙うて候を読破しました。本来なら借りたかった
のですが郷土資料で書庫本で貸し出し禁止で止む無く館内での読書だったのですが、登場人物達はその場に居たんだと思いを馳せると、僕と東郷隆先生
との縁が有るなぁと思いました。最初に逢ったのは
2001年1月28日の軍事の催し物でした。知ったの後ですが模型製作集団カンプグルッペジーベン
の最年少メンバーで僕も1/35の田宮模型の兵器
を購入しました。それからコンバットマガジンで
単独パキスタンに潜入取材も仄聞し、小説家デビューの「定吉七番シリーズ」に嵌り、消費税導入前に
既刊であった。五巻中四冊を入手して(最終的には
全巻揃えました)「大砲松」や「にっかり」を読み
東郷隆先生のブースの鎧を試着させて戴き、サインを戴いたりして、ファンレターを池袋のサムズのオサム社長の処からの経由で届けて貰い。其の年のほぼ誕生日に「おれは青海入道」を送って戴きました
以降は集英社経由とか色々試したものの駄目で僕が
都合で都落ちして故郷に帰って、音信不通となり今回もサムズ頼みでメールをしたものの不発、何方か
東郷隆先生と連絡を着ける方法を御存知なお方は
いらっしゃらないでしょうかよしなにm(__)m
Posted by 薩摩どん at 2009年04月24日 21:50
薩摩どん様こんばんは。
東郷先生の大ファンでいらっしゃるご様子、よく伝わってきます。東郷隆先生の連絡ですが当方も良く知りません。
大変申し訳ないです。

Posted by 黒猫 at 2009年04月29日 19:49
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