2006年12月28日

汝らその総ての悪を 倉阪鬼一郎

もう一人殺そうかな。つまんないから。夏が死ぬまでに。


恐らく本年締めくくりとなるであろう一冊が、とんでもない鬱小説だった件について。

最初の1/3程度まではこんな話になるとは思ってませんでした。
ゴシックな雰囲気がぷんぷんと漂う装丁とタイトルから、怪奇趣味的な方面なんだろうと思ってましたし、その方面は個人的に好きなジャンルなのですっかり油断してしまってたとですよ。

いきなり主人公が引き籠り青年という時点で鬱系の予感はしました。
しかも家族を亡くし、父が生前書いた本の印税で細々と引き籠りライフを送っていると言う、それ何てエロゲ?みたいな設定で。

前半部で既に「世界」の秘密だとか、方面的にはお馴染みの(笑)言葉が頻出してはいたのですけども、あくまで微妙に軋んだ世界で鬱々と垂れ流される
有毒廃液の様な物語かと思ってました。分厚い本なので、このノリ、絶対飽きてくるよなあ・・・と言うか、実際飽きてきました。
とりあえず200ページ位まで読んで、飽きさせない様にしようと、些細な事柄を最大限にゴージャスな比喩で鍍金する、僕的に一番生理的に受け付けない針小棒大系作品だったら読むの中止しようと睡魔と闘いつつページを捲っていたら。
気がついたらもの凄い事になってましたですよ。

物語はヒロインのナナと主人公の俊が結ばれたのを折り返し点として、そこから物凄い勢いで狂気の世界へと堕ちていきます。
神父殺害後、逃亡生活に入ってからは、死霊に憑かれるわ幻聴幻覚に苛まれるわ警察の包囲網は縮まってくるわナナの恐ろしい過去が見え隠れするわで、この本に「純愛ノワール」なんて売り文句付けた奴出て来い状態。特にナナの言葉足らずの口調での独白が怖すぎ。"ナナなんにも悪い事してない"は本年読んだ本の中でも最狂クラスに心臓に悪いです。
とにかく一片の救いもないままにどんどん堕ちてゆく二人の姿には絶望感以外の感情は持てません。なまじ二人とも純粋なだけに更に性質が悪い。
この作家さんも狂っているなあ。

堕落と倒錯の世界への逃避の行き着く結末は、これしかないという、そんな結末でした。すいません上手く表現できません。ただ、全く救いがないのに、綺麗な終わり方だと感じました。
いい感じに鬱になりたい人にお勧めします。







posted by 黒猫 at 12:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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