2006年12月11日

さらば愛しき女よ/レイモンド・チャンドラー

女と言うものは、嘘を言うもんだぜ


今更と言うか、チャンドラーです。固ゆでを語る上では絶対外してならないマスターピースの一つな訳ですが、僕個人はどうも上品過ぎるきらいがあって敬遠していた作家でもあります。叙情的な作風は嫌いではないのですが、その方面ではエド・マクベインという存在もありますし。

で、感想。
マーロゥの私立探偵というポジションを最大限に活かした作品だと思います。偶然巻き込まれた殺人事件、あえて関わらずとも良かったその事件に首を突っ込み、脅され殴られ警察にマークされそれはもう散々な思いをしますが、すべては大鹿マロイという男の、昔の恋人に対する一途で純粋な想いに対しておせっかいを焼きたくなった故。
本作はほとんど出番こそ無いものの、マロイが主役を食うほどに印象的に描かれています。反面マロイの元恋人は悪女として描かれていますが、果たして本当に心の底までどす黒い人間だったのだろうか、最終章ではそんな事をふと考えさせる結末が用意されていました。

いやそれにしてもマーロゥが実に良い。昔読んだ「大いなる眠り」の時はすかした男という印象しかありませんでしが、本作で一気に魅力的な男に化けましたね。
相変わらず人を食ったような態度と憎まれ口は変わりませんが、誰かに認めてもらうためじゃなく、俺がこうしようと決意したから最後までやりとおすという、しかもそれが困難な事でも、世間の常識に反しかねない事でも貫き通す、ある意味人としての理想像を見せてくれます。
マッチョズムの様なけれん味はありませんが、それだけに性別問わず理解できる価値観かも知れません。
遠子先輩もご推薦していた?だけはあります(笑)







posted by 黒猫 at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | ハードボイルド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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