2006年11月26日

少女七竈と七人の可愛そうな大人/桜庭一樹

女の人生ってのはね、母をゆるす、ゆるさないの長い旅なのさ。


まず最初に断っておきますが、著者の桜庭さんの本はこれが初めてです。
一応知識としてライトノベル畑の人、と言う事は知っている程度。

で、本書の感想・・・まず、空気感、色彩感に溢れています。この作り物のように美しい文章を読むだけでも十分価値のある本。
なお文章的なものとせりふ回しに関しては完全にラノベの作法で書かれています。
主人公の少女七竈の造形なんかまさにラノベ的で、独特の口調やら趣味が鉄道模型だったりやら、現実ではまずありえない設定です。なんですが、作品自体の持つ捕らえ所の無い雰囲気とは素晴らしく噛合い、かつあまりオタク向けに萌え方面に走っていないのには著者の節度を感じます。
ちなみに萌え自体は否定しません。むしろ僕は萌え原理主義者です。原理主義だからこそ何でもかんでもとりあえず萌え要素突っ込む風潮に辟易している訳ですが、それはそれ。

それにしても全体像を把握し辛い作品です。
母親と子供の心理をオブラートに包みつつも生々しく描いているというのが縦軸なんだと思いますが、横軸として様々な登場人物が絡んでくるので物語がどうしても散文的になってます。ただこれに関してはラノベと違ってある程度読者層が広い事を踏まえて、読む人の性別や年齢に応じて感じる部分に幅を持たせているからかなと言う気も。
はい、僕的には若い二人よりも、駄目人間一直線の七竈の母、あの壮絶な遠回りぶりに感じるものが色々ありました。
・・・てか、七竈本来の父親も無職プーな雰囲気で、両親そろって駄目人間というのが何ともかんとも最大級の呪縛だよな、と(笑)。




ラベル:書評
posted by 黒猫 at 12:52| Comment(2) | TrackBack(3) | 青春・恋愛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございました。
お返しTBがなかなか反映しないみたいなので、コメントのみで失礼します。

この作品は全体的に漂っている雰囲気が絶妙で、すっかりその世界に入り込んでしまいました。
若い二人の方に注目してしまったクチですが、おっしゃるように母と娘の物語と読むこともできる作品ですね。
Posted by エビノート at 2006年11月28日 23:13
エビノートさんはじめまして。
不躾なTBでしたが承認ありがとうございます。
自己の形を頑なに持ち続ける七竈の在り方と、鈍色の雪の町と赤い七竈の実・・・この本は色彩の感覚で読んだような気がします。
僕はもう年齢的にアレなので母親に感情移入しましたが、それに対して反発する娘の心情も理解できます。いろんな層の人に読んで貰いたい本ですよね。
Posted by 黒猫 at 2006年11月30日 18:45
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