2006年10月01日

失投/ロバート・B・パーカー



スペンサーシリーズの3作目。
レッドソックスのエース投手マーティの八百長疑惑を秘密裏に調査して欲しいとの以来を受けたスペンサーがいつもの如く料理の薀蓄を垂れ流しつつボストンを駆け巡ります。

ストーリーは完全な一本道で、配置されるべき場所に配置されるべき人物が配置されているという感じ。うかつに本筋に触れるだけで話の全容が見えてしまう位です。
もっとも、私立探偵を主役としながらもこのシリーズは謎解きを主眼に置いた本格派ミステリーとは性格が180度違うものなので特に問題はありませんが。

この巻からスペンサーの固ゆで自己陶酔が露骨になってきますが、調査の為、そして何より身を守る為とは言え結果として暴力に訴えてしまった自分の行為に関して悩み、恋人のスーザンについ弱音を漏らしてしまったりと、人間らしい側面が見え隠れし始めるのも特徴です。
自分が思っているほど格好の良い人間ではない・・・という事ですが、相棒にしてツッコミ役のホーク登場前なので、セルフツッコミ形式で自省している姿はやや痛々しいですね。
それでも固ゆで男の証、マイ規範に則って行動するという点は終始貫かれている(それ故に悩み多き主人公なんですが)ので、ハードボイルド作品としては二重丸でしょう。
件の八百長疑惑投手も、事情はあれどなかなかの固ゆで男でした。

ところで作中でウォリィが所持していたM-16、口径7.62mmって一体ナニ?確かAK用の7.62mmが使用できるモデルがナイツ社辺りから限定で出ていた気がしますが、執筆当時にそんなものあったとは到底思えません。AR-10の間違いですかね。
ラベル:書評
posted by 黒猫 at 14:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ハードボイルド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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