アラン ムーアヘッド 小城 正
WW1というと日本語の資料もあまり多いとは言えないのでまったく知らない事のほうが多いが、このガリポリ上陸作戦は名前だけは聞いたことがあるレベルではあった。とは言えガリポリがトルコだという事すら知らなかったんですが。
本書を読んで強く感じられるのは、敵を軽んじ、明確な戦略を欠くままに行った作戦は、たとえ戦術的に眼を見張るものがあったとしても、良い結果は齎さないという事。まあ、すごく基本的なことですよね。なのにその基本を忘れて手痛いしっぺ返しを受けた行為は世の中ゴマンと転がっているわけですが。
なお、このガリポリ上陸作戦を立案したのは後の英国宰相チャーチルです。
本書では英国内に於ける政治的なグダグダにも触れていて、作戦は失敗すべくして失敗するだけの要素を常に孕んでいた事も描いてます。
戦史というと主に前線での時系列ごとの出来事の羅列が多いのですが、ロンドンにも目を向ける事で、ドキュメントとしての厚みが出ている気がしました。
結構分厚い本ですが、内容は濃厚なので知的好奇心が減衰する事なく読めました。