誰もが知っているドイツ軍の重戦車タイガー(ティーガー)と、もと日本軍兵士の数奇な運命を描いた同名小説のコミカライズ。
漫画を担当したのは戦争劇画の一任者小林源文氏。
物語の展開に関しては・・・正直ご都合主義的な部分が多い気がする。
例えばドイツ軍の捕虜となった主人公川嶋を処刑から救ったのは、ソ連軍に徴用されていた当時見逃してやったもう一人の主人公ドイツ兵ゾーレッツなんだけど、広大な戦線で縁浅からぬ人間がジャストタイミングで再会すると言うのも仮想戦記ならではの奇跡としか言いようが無い。
助けられた川嶋が今度はドイツ軍に志願するのだけど、身元の良くわからぬ東洋人を迎え入れるほどドイツ軍は人種という概念に寛大だっただろうか。
更に偶然彼らが評価試験用として日本軍に購入された戦車(ティーガー)の乗員として抜擢されるのも強引と言わざるおえない。
こんな感じでストーリー的には微妙ではあるのだけれど、そこは一等自営業閣下、陸戦の描写は手馴れたものだ。
川嶋が日本刀でロシア兵を斬リ伏せるカットも妙にカッコイイ。
私はドイツ軍にはさほど思い入れが無いけど、ドイツ軍好きにはたまらないシーンもたくさんあるのでその方面の人も安心して読んでいいと思う。
残念なのは日本軍に引き渡されてからのティーガーが活躍するシーンが少ない事だろうか。
そうそう、自営業閣下の漫画では既におなじみとなった佐藤&中村コンビもばっちり登場するので、彼らのフアン(いるのか?)は要チェック・・・かも。