ハルカ 天空の邪馬台国
桝田 省治
1800年前の日本はファンタジー世界だった。
若干スケベで若干投げやりで若干キモめの高校生が、実家の蔵で見つけた鏡に導かれて古代の日本へと召喚され、救世主としてさまざまな種族を束ねて一大率と闘う古式ゆかしいヒロイックファンタジー。
1800年前ということで邪馬台国の時代ですが、邪馬台国が空に浮かぶ島だったり石のロボットに乗り込んでバトルしたりりとかなりやりたい放題で、真面目に考えて読んではいけません。
たぶん作者の人的には2000年近く前というと超太古と言っても良いくらいの過去なんだから、オーパーツだろうと人外種族だろうとなんでもアリだぜ!という感覚もあったんだと思うけど、2000年前というのは人類の文明の歴史の中では取り立てて古い時代とは感じられなので、些かやり過ぎかなあと感じる部分も。
とは言え、上で「真面目に考えて読んではいけません」と書いたように、歴史の知識は頭から追いだして読むべき作品ですから、ああだこうだと細かい事をいうのはただの野暮ですね。
作者がゲーム作家ですから当然内容もゲーム的で、各章毎に舞台とサブキャラクターがガラっと変わり、ミッションが与えられる構成。(俺屍の世界と一部クロスしているらしが元ゲームを知らないので言及しない)
このおかげで非常に読みやすいのは事実なんですけど、旅の様子等の世界観を膨らませる描写は割愛され気味なのは残念。もっとも、舞台が九州と四国の一部と結構狭い範囲内なので、世界観も何も無いだろという話もあります。
いくつか伏線が未回収のまま終わったので、続編も機会があれば読んでみようと思う。