機械探偵クリク・ロボット〔ハヤカワ・ミステリ1837〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
カミ 高野優
ロボットの探偵クリクとアルキメデスの子孫の博士が何時間に挑むという、いわゆるバカミステリーの系譜に当たる作品。執筆されたのは第二次世界大戦直後の1946年という事で、なかなかにレトロな雰囲気があって好もしい。
設定は馬鹿っぽいが、よくある投げやりなオチの脱力系ではなくそれなりに練ったストーリー展開。
ただ、クリクが事件の解を暗号化した紙をプリントアウトし、それを解読して事件解決という流れが固定化しているのは…ある種の様式美と見るべきか。
ちょっと面白かったのはロボットの在り方で、一般的な日本人のイメージする人型ロボットは人を模した人に準ずるものであるのに対して、クリクは人型でありながらぎりぎり道具の範疇に収まっている。このあたりは文化の違いからくるものなんだろうか。もう少し自律型で博士と軽口を叩きあえる様なロボットだったらなあと思ってしまったのはきっと俺だけじゃない。