籘真 千歳 竹岡 美穂
テーマが結構散逸してしまったというか、物語当初に示された人工妖精による連続殺人事件の謎解き部分がなにやら右往左往するうちに狐につままれたような形で片付けられて、主題が見えづらい印象を受けた。
だけど、それを以てしてこの作品を駄作とするかというと否で、確かにシナリオ的には枝葉が多すぎて本筋が見えにくいものだったけど、世界観の見せ方や古今東西の作品から様々な要素を盛りこんでアレンジしている点に関しては非常に面白かった。
未来都市とか人工的に作られた人間型の生命体とか言うとブレードランナーやAPPLESEEDを彷彿とさせるし、人工妖精と人とのあり方はFSSでもあり、蝶型のマイクロマシンによる浄化は極楽蝶の様でもあり…多分他にも元ネタ付きのものはたくさんあると思う。
たぶん作者が描きたかったのは、殺人事件の謎を追うサイバーパンク風ミステリーよりも、上記の様なSFのごった煮であり、作者が読んでもらいたいと思っているのはそうした元ネタを理解し、作者の意図を汲める人なんだろうと思う。
聞きかじった断片的な知識で一つか二つの元ネタを見つけて、パクリパクリと喚き立てる様な薄っぺらい読者はノーサンキューなんだろうな、きっと。
つーかこれをパクリというなら、ニャル子さんはクトゥルーのパクリってことになるよねw
そんな感じで、オタ向けSF好きの人なら楽しめるというか、むしろそれ特化作品かもしれない。