二重標的(ダブルターゲット)―東京ベイエリア分署 (ハルキ文庫)
今野 敏
日本版87分署といった感じの安積班シリーズ。
今野作品というと派手な拳法アクションや伝奇・SF要素なんかが結構多いのですが、この作品はそういったケレン味を排して、地に足の着いた捜査活動を描いているのが特徴的。
ただの87分署リスペクトではなく、舞台が日本国内なので日本にマッチした要素が盛り込まれていて、特に警察内での組織間の軋轢に主眼が置かれているのが面白いです。
警察小説であって厳密にはミステリーではないので、事件の謎解きに関しては普通に読み進めているうちにどんどん解明されていって、勿体ぶったヒキはありません。謎掛けをされているというよりは読者も捜査に参加しているような感覚。
そういう意味で凄く教科書的な警察小説と言えそう。
ドラマの安積さんに比べて良い意味でやや泥臭いのが好印象かな。
のんびりシリーズを追っていきたい。