センチュリオン急襲作戦 (ソノラマ文庫ネクスト)
陰山 琢磨
うーん、これは厳しい。
都市型テロやロボット兵器など題材そのものは決して悪くないんだけど、近未来世界のテクノロジーに関する考察や予測が全体的にスベリ気味(執筆当時に話題になった最新技術を節操なく詰め込んだだけという感じで、大半の技術は今となっては徒花的存在として淘汰されてしまっている)なのと、ゲーム会社を利用してテロ兵器のソフト開発を行わせるという手口が『蒼丘の槍』と同じパターンなのが気になって仕方ない。
ロボット兵器を歩兵戦闘車のポジションに見立てるセンスなんかは仮想戦記で鳴らしているだけはあるなあと、部分的には見所はあるのですけど…。
ラノベとしてはキャラが弱く、仮想戦記としては中途半端。かと言って普通の小説としてもまとまりが良いとは言えない。特にテロ計画を立案した女技術者の犯行動機がかなり強引。
やはり陰山先生は戦車小説が一番しっくり来る気がする。