芳住 和之
完結。前作ドラゴンキラーの時とは違い、特定のキャラクターにまつわる伏線以外はあまり引っ張らない構成だったので、巻ごとにざっくりとした展開だったけど、その分読み易かったと思う。
デルのマスターの登場の仕方などはかなりあっさりとしたものでしたけど、ロリババアで割と人としての器小さめで、この作者らしいキャラ造形だなと感じたかな。
魅力的な小物を描けるのって才能だと思います。
かつて世界を巻き込んだ戦乱を引き起こした当事者連中が主人公のすぐ近くで暗躍している割には、風呂敷をあまり広げないまま終わった物語でしたけど、あくまでプラスとナムの旅の物語だと思えばこれはこれでありなんだろうと思う。
海原先生は大きな視点で壮大な物語を紡ぐタイプではなく、主人公とその周囲5メートル範囲内での登場人物たちによる掛け合いを通して生き様を描く作風が得意なのかも知れない。
ハードボイルド小説のフォーマットに忠実というか。