2010年05月18日

目標!伊号潜水艦 感想 アントニイ トルー

目標!伊号潜水艦 (ハヤカワ文庫NV)


インド洋で通商破壊の任に就いていた日本海軍の潜水艦と、英海軍駆逐艦との行き詰まる追撃戦…とか書くと本格海洋戦争小説のように錯誤してしまうが、その実態はアレ極まりない斜め上小説。

まず潜水艦は米国籍の輸送船を沈める際に反撃を受けて潜行不能状態となっていて、応急修理のためにアフリカ沿岸の小島に潜伏している状態で、駆逐艦と互いに腹を読み合い、魚雷&爆雷を交錯させるような展開は一切なし。
クライマックスでも島に上陸した英駆逐艦乗組員達と陸戦で勝負が決すると言う斜め上ぶりで…潜水艦である必然性がまったく見えない。

また日本軍の残虐描写として海上に脱出した輸送船乗組員に機銃掃射をかけるシーンを描いているんですけど、実際問題そういう事が無かったとは言わないが、そんなの戦争ならどこにでも転がっている話でしか無く、殊更強調するものではない。
例えば米軍が日本軍の捕虜を後送するのが面倒になってその場に集めて機銃掃射をかけたという話もあるし、ヨーロッパ戦線でナチのユダヤ人収容所を開放した際にその惨状に頭に来た兵士が捕虜のドイツ兵をその場で虐殺したなんて話もある。
更に非戦闘員を徹底的に殺戮した連合軍の戦略爆撃も忘れてはいけない。
正直な話、枢軸軍と連合軍とではどう見ても連合軍の方がえげつない事やってるだろうという話で、こういう細かい部分を挙げては被害者面をするのはどうにもいただけない。


ちなみに間違いまくった日本人観ももの凄いことになってますけど、最早ツッコむ気力もありません。


posted by 黒猫 at 12:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦記・ミリタリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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