
ちょっとホラー風味な短編集。
主人公の多聞は「月の裏側」に登場していたあの人かな?
月の裏側がかなり正面勝負のホラーだったのに対して、こちらは都市伝説的なちょっと不思議な話という程度。しかし語られる不思議話は9割までは論理的に解釈できるものの、必ず1割程度不可解な部分が残されていて、それが読後にじわじわとくる。
恩田氏と言うととにかく巧者という印象があるけど、この本を読んでよりその印象は補強された。
プロットの組み方とかじゃなく、感情の隙間に浸透してくるツボを心得ている問う感じなんですよねえ。
どうにも掌の上で踊らされているような気がしなくもないけど、それすら踊らされるのではなく自ら踊ってやるという気持ちになってくるから怖い。
個人的にはラストの話が結構きた。
作品の性質上多くを語るとネタバレになりそうなので、感想をまとめるには少し難しい。