DOORS II 新たなる敵を修繕せよ! (角川スニーカー文庫)
岸和田 ロビン
完結編、というか全2巻だから上下組だったというか。
1巻の妹帝国みたいなお馬鹿さはなくなってしまいましたが、あの手の一発ネタは何度も何度も使うものではないので特に不満と言う程ではありません。
しかしドアの向こうの狂った世界に対する慣れのようなものが出来てくるのは確かで、なにかがおかしい筈なのに、それ程おかしいと感じなくなってしまったのは作品の問題なのか読者の問題なのか。
作家がベテランさんなのでその辺の事もある程度は予想していたと思われ、チサが割と早期に人間の姿に戻ったりして姉妹の掛け合いに多少なり変化を持たせてみたりしているのは感じた。
それでもやっぱり物語の特異な構造に対する慣れを何とかできるものでも無かったですが。
個人的に面白かったのはやっぱりSFネタ。
最近のハードSF以外はSFじゃねぇ、「スペースファンタジー」もしくは「すこしふしぎ」はすっこんでろ的な読み手側の妙な風潮に対する皮肉にも感じられた。
一話完結を基本にした物語なので長く続けると言っても限界があるし、全2巻程度で良かったのかも知れません。終盤の慌しさ鑑みるともう一冊位欲しかったといえば欲しかったですけど。
ともあれ楽しい作品でした。