宇宙海兵隊ギガース 5 (講談社ノベルス)
クライマックスと見せかけてまだ引っ張る気満々ですねえ。
順次謎は明かされてきたし、見所もしっかりと用意されているし、決して悪くはないんですけど、ストーリー展開的にこれ以上引っ張ると相当希釈化された内容になりかねない気がします。
5巻ではミズキの正体と木星圏との戦争の立役者に迫る展開がメイン。
ほとんど作品のメインと言ってもいいほどの2大要素に関する伏線が一気に回収された形なので、ポリティカル的な小説としてのケレン味はなかなかのもの。
この辺りは今野先生らしい、手馴れた感じでした。
その一方で、戦争が最終局面を迎えつつあるのに戦闘自体は限定的&散発的で、SF小説としては些か物足りないなあ。もちろん宇宙空間では限定的な戦闘しか起こりえないという考証があっての上での展開なのは作品でも触れられていて、それはそれで納得のいくものではあるんですけど。
また折角のロボットものなのにロボットのメリットが今ひとつ描ききれていない雰囲気は感じます。
巨大人形ロボのメリットなんて真剣に考えれば全く無い事なのは理解しますが、物語なんだからその辺はもっと嘘吐いてもいいと思うんだぜ…。
さすがに次の巻でラストだと思うので付き合う気はありますが、最後くらいは派手に締めてくれてたら嬉しい。