2010年01月07日

天体の回転について 感想 小林泰三


天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
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ハードSF短編集という触れ込みですが、自分の考えるハードSFはどちらかと言うと作中のガジェットに真実味を与える為に科学知識や論理を用いる作品なのに対して、本書に収録されている作品の幾つかは化学や論理そのものが主体となっていて、それらを強調する為にストーリーが付属しているという感じが強い。
延々タレ流される薀蓄に興味の無い(そういう人は最初から読まないかも)人間にとっては些かペダンティックに感じるかもしれないが、その一方でそういう作品を読む行為にある種の優越的な快感を感じるケースもあるので一概にアレとは言えない。
もちろんもっとミステリー寄りの作品もあれば、「300万」みたいな良い意味でのバカSFもありますし、ひたすら露悪的な作品もある。むしろ1冊通してみると露悪的な要素が一番強いかも知れない。


個人的に読んでいて楽しかったのは「あの日」でしょぅか。もの凄く判り易い形で所謂SF界(書き手も読み手も含めた)の現状を皮肉っている。というか喧嘩売ってる。作中の不必要なまでの懇切丁寧さは極めて露悪的。
「あの日」を読んで何馬鹿馬鹿しい事書いてるんだろうと感じるとしたら、全くの鈍感かあるいは反感を覚えたかのいずれだろうなあ。
「性交体験者」もそうだけど、作品にそっと(いやむしろ露骨に)悪意を忍ばせているところにこそこの作者の真髄があると見たがどうか。



posted by 黒猫 at 07:04| Comment(0) | TrackBack(0) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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