2009年12月13日

突入! 痛戦車小隊 感想 吉岡平



環境破壊の進んだ近未来。世界各国は4年に一度、戦争のオリンピックとも言えるスパルタキアードなる大会を開催し、そこで挙げた成績に応じて向こう4年間の二酸化炭素排出量を割り振りする事で無秩序な環境破壊を防止していた。

…と言うことで、世界各国の兵器が一定のルールに乗っとって戦って、戦って、戦い抜いてしまおうと言うGガンダム或いはギガンティックフォーミュラなノリのイロモノ仮想戦記が本作品。


スパルタキアードの種目は陸海空別に複数あるようですが、作中で取り扱われるのは戦車戦部門。
世界各国の戦車がその装甲と火力と機動力のみを活かして(競技なので空からの攻撃や歩兵によるアンブッシュ攻撃は存在しない。あくまで戦車vs戦車のガチ勝負)激しく火花を散らす漢の世界が繰り広げられる訳です。
日本チームの監督は女子高生だけどさ。

近未来と言うことで、現在使用されている主力戦車をカリカチュアして発展改良した様な戦車が多数登場するのがセールスポイントで、トッブアタックを警戒するあまり砲塔上面ハッチすら廃止されたメルカバの最新型とかに微妙に笑った。
まあ、現用のメルカバMkWでも充分に異形だからなあ。
反面日本の戦車は他国の新鋭に比べると割と地味ですが、しかし車体にペイントされた痛イラストが異彩を放っている。痛イラストを描く必然性の部分は最後まで見えませんでしたけど。

あと世界各国の新型戦車はほぼすべてライフル砲を装備しているのが謎。今現在ライフル砲にこだわつている国なんてイギリス位しかない気がする。
APFSDS弾や形成炸薬弾を使うためにはベアリングで砲弾の外側だけ回転させる特殊な弾を使わないといけないし、ライフル砲は命中率が高いと一般には言われているものの、実際にはそうでもないみたいですし。メリットが見えないよ…。

でもって、本命と思われたドイツやアメリカが敗退し、決勝で日本チームと当たる事になるのがイギリスチームと言う大番狂わせもまた、作者の趣味でしょうか。ライフル砲の件といい、蛇の目マンセーなのかも知れない。


戦車好きなら結構楽しめる作品ですが、そうでない人には延々と垂れ流される戦車の話に目眩がしてくるかも知れない。かなり読者を選ぶのは間違いないです。
なお、あとがきはかなり痛いので注意。


突入! 痛戦車小隊 (朝日ノベルス)
野上 武志
4022739231



posted by 黒猫 at 13:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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