1巻当時はもっとほのぼのとした、地域密着型のストーリーになるのかと思っていたのですが、巻が進むにしたがって男性向けレーベルのライトノベルとほとんど変わらないノリになって来た感のあるダナーク魔法村です。
個人的には男性向けレーベルには無いハートフル路線を期待していただけに、ダナーク村を飛び出して国境地帯に出現した謎のドラゴンを巡る大活劇…という筋書きにはいささか戸惑いを感じてしまった。
もちろんストーリー展開そのものや伏線の見せ方といった部分はすごく堅実に出来ていて安定感があるし、期待していたものでは無い方向に走ったとはいえそれでも一気に読ませる力量は素直にすごいと思いますけどね。
さて、この3巻ではいよいよイズーの因縁キャラクターであるデイルが登場。
ビーの親戚で実は王子様のライとかも何気にライバルっぽく見せかけて出てきますけど、イズーとライの対面がドラマ的過ぎて少し霞んでしまった感もなきにしろあらず。
細かいところではイズーが少しずつ感情が見え隠れする様になってきていたところだけに、こうした過去との対面は再び彼の態度を硬化させたりしないかと気になります…が、ラストでのダメっぽいオチからして大丈夫みたいですね。
ディルとの因縁はまだ続くようですが、うまく魔法そのものに関する伏線の処理と絡めているので、あまり引っ張っている感じはありません。こういうところも巧みですよね。
ダナーク魔法村はしあわせ日和―ドラゴンが出たぞ! (コバルト文庫)
裕龍 ながれ