一秒でも本を早く読みたいという希望は書評系サイトをやっている人なら大抵の人が持っていると思います。
僕もご多分に漏れずその口なので、速読系の本では定番といわれる本書を手にとってみました。
ちなみに僕の素の読書スピードですが、だいたい文庫本で見開き30秒程度。改行の多い作風の作家ならもっと早くなりますし、逆にラヴクラフトよろしく文字密度が半端無い作風だともっと遅くなります。
本書ですと、比較的文字が大きいことと、トピックごとに文章が整理されている事、そして実用書ですから小説のように登場人物の名前を覚えたりする必要が無い事もあって30分で読了した程度。まあ、そんなに早いほうでは無いですね。
で、本書の内容ですが、交感神経の異常とかポジトロン云々とか右脳左脳といった程好くオカルトじみた記述が目に付く事、随所に「個人差があって、誰でもイメージリーディングが出来る訳では無い」的なお断りが入っている事など、些か何ぞこれと言うという部分も無きにしろあらずですが、視点の動かし方や視野の拡散拡大といった、本を早く読む上で最低限必要な基礎部分はしっかりと解説されています。
ただ、その基礎部分に関しては個人的にすでにある程度理解しているので、これといって目新しい内容ではないのが残念。もちろんそれは僕自身にとっての話であって、一から始めようと言う人にとっては有用な本である事は間違いありません。
些か抽象的な例え話で頁数を浪費している節はありますし、しかもその抽象的なたとえがあまり適切でなくて、結果として核心部分を若干ぼやかしてしまっているきらいも無いわけではありませんが、入門用としては必要充分でしょう。
この本に出ているトレーニングを軽くするだけで、世間の平均値(本書によると1分400〜600文字)の2〜3倍位ならその日のうちにでも出せるとは思います。
逆に、本書で誇大広告気味に紹介されている分/3万文字とかはあくまで個人の才能の問題なので、あまり真に受けないほうがいいでしょう。ニュータイプ能力みたいなもので、適性が無いと到達できない域です。
なお、トレーニングは目の筋肉がかなり疲労するので、目薬は用意しておいたほうがいいかもしれません。
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