中国澄江で発掘されるバージェス頁岩の愉快な仲間達以上に奇天烈な生物化石を通して、前カンブリア期まで遡って進化の定説を見直してみようと言う一冊。
出版時期が新しい本だけに、これまで植物と動物の中間的存在とされてきたエディアカラ期のベント生物(現在このカテゴリーはありません)が、実は能動的に行動して捕食する動物寄りの生き物である可能性が高い事や、後の三葉虫への進化の萌芽が見て取れるパーバンコリナの存在など、興味深い記述が多数あります。
また、バージェスや澄江で発掘された生物達をイラスト付きで解説するのにも多数の頁を割かれていて、特にベッツリコーア門と呼ばれる謎生物はそのシュールさにおいてアロマノカリスやオパビニアと言ったカンブリア紀のアイドル達?をも凌ぐものが。既存の生物イメージに対する冒涜の一歩手前だよこれは…。
生物学に詳しい人向けにはどうかは判りませんが、なんとなく古生物に興味があるというレベルの人には(まあ、僕自身のことなんですけどね)非常に楽しめる一冊である事は間違いないですね。これを読むと、今まで大概にして奇妙だと思っていた既知のカンブリア生物すら普通に思えて来ます。
あまり難解な専門用語もありませんし、図を多用して読みやすい構成も心がけられていますので、機会があれば手に取ってもらいたい本です。
カンブリア爆発の謎 ?チェンジャンモンスターが残した進化の足跡 (知りたい!サイエンス) by G-Tools |