2009年10月04日

超・空挺砲艦「火龍」1 大逆転!ガダルカナル戦 陰山琢磨 感想

タイトルはあれだが内容は比較的ハード。

物語の中心に存在する空挺砲艦の存在もさることながら、あくまで陸軍主導で攻勢限界点を早期に設定して持久戦の構えに持ち込む展開に新鮮さを感じた。
ヨーロッパの様に陸続きの国境がある訳でも無い太平洋の場合、必然的に米軍の侵攻ルートは限定されてくる訳で、そうした進路上の要衝となる島嶼の補給及び整備能力さえ定期的に漸減してボトルネックを作れば比較的持久も可能かもしれない――という幻想を見させてくれる。

そうした漸減の要となるのがタイトルにもある空挺砲艦…現代で言うガンシップであり、これの編隊でガ島やポートモレスビーを定期的に襲撃する事で兵力の集中を妨害し、ヘンダーソン基地の拡張も阻止しようと言う大胆極まりない戦術。もっとも、史実のニューギニア戦では米軍の少数の爆撃機による日本軍基地への嫌がらせのような空襲が連日行われた記録もあるので、その立場を逆転させただけと言えなくも無いです。


兵器レベルの改変ではB-17に衝撃を受けた日本が総力を挙げて開発した4発重爆「火龍」と、それをベースに75ミリ砲と40ミリボフォース砲、連装20ミリを搭載した空挺砲艦(ちなみに米軍の双発爆撃機B-25にも対船舶攻撃を意図して75ミリ砲を搭載したモデルが実在します)だけでなく、敢えて隼を捨てて鍾馗を一式戦闘機として採用したりといった、陸軍強化策があれこれ施されているのが楽しい。車両関係も史実より強化されている模様ですが、1巻ではほとんど出番が無いのでこれは保留。
1巻終盤の米軍爆撃機による大規模空襲に際しては空挺砲艦の75ミリ砲でB-17と空中戦を行ったりと、なかなかに無茶をやっているのも面白かった。
これも史実では大戦末期の本土防空戦で、対B-29の切り札として四式重爆に75ミリ砲を搭載したキ109と言う機体が生産されているので、あながち荒唐無稽ではありません。
この辺りのソツのなさは流石陰山先生と言ったところ。


超・空挺砲艦「火龍」〈1〉大逆転!ガダルカナル戦 (コスモノベルス)
4774710350




posted by 黒猫 at 10:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦記・ミリタリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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