2009年09月12日

光降る精霊の森 藤原瑞記 感想

光降る精霊の森 (C・NOVELSファンタジア)
4125009104



うん、ファティがかわいいね…。
…おっと、作品の内容に関してはもう描く事が尽きたぞ(汗)。

なんというか、この作品、下地となる世界観の設定は物凄く良く出来ていて、精霊の設定とかエカラートの城とか、その他旅の途中で食する野外料理に至るまでとにかく描写が細かいのが特徴的です。
そこまで詳細に書かなくてもストーリーには何ら差し支えないだろうと言うレベルまで書き込むことによって、作品世界をありがちなライトファンタジーよりももう一歩突っ込んだものとして際立たせていて、読んでいる僕の脳裏にも次々と情景が質感を伴って浮かび上がって来るのが美点。

しかしその反面、物語そのものは極めてこじんまりとまとまってしまっていて、なんとも地味。
たぶん、この作品の世界を主人公を変えた短編形式で様々な角度から描くと、SFによくある「××シリーズ」みたいな感じで膨らんでいく素地があると思うのですが、いかんせん一冊きりではせっかくの世界観もその魅力を発揮する間も無く終わってしまった訳で、実に勿体無いといわざるを得ない。

悪く言えば設定に拘り過ぎてストーリーがお留守気味と言う事なのですが、しかしかつて異世界を想像(創造)しては楽しんだ経験のある人なら、この作品から漂ってくる一種独特の拘りには共鳴するものがある筈。
セールスの問題もあったんだろうけど、気長に育てて欲しかった作家さんかもしれません。


posted by 黒猫 at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がない ブログに表示されております。