煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)
2人の語り部によって紡ぎだされる物語が絡み合い、一つの大河物語として出来上がっていく様が見事。
舞台となる十八諸島輪界と言ったRPG的閉塞感を伴う世界観の構造は正直説明不足だと思うけど、しかし物語として面白いとそうした設定の瑕疵なんてほとんど気にならないのも事実。
むしろ世界設定の閉塞感すら作品そのもののエッセンスとして利用している節があります。
最初から全ての答えと役者が揃っていて、しかし最後までそれを読者に確信させない。
だから幕間の語り部同士の会話が気になって気になって仕方ない。
目新しい一発ネタやキャラクターのインパクトに頼らず、純粋に物語の力だけでこれだけの作品を仕上げる作者の力量には脱帽モノ。
これでデビュー作とか信じられないんだぜ…?
投稿歴17年とか自己紹介されていますが、たしかにこの(良い意味での)老獪さは二桁単位の年月小説を書いてないと身に付かないだろうな。
何せミスリードさされても卑怯だともずっこいとも思わない。ただひたすら素直に、「やられた〜」と言う感じで。
クォルンことムジカの正体とか、最初から気付いていたらエスパーだよ…。
最後まで読んでから改めて表紙を見ると、トーテンコフがちゃんとアレに見えてくる辺り、山本ヤマトさんの絵の冴えも見逃せない。
久々に文句の付け所が全くない作品を読んだ気がします。
この作者の作品は全部押さえておきたいですね。
煌夜祭読みましたか!
僕も初めて読んだときは衝撃でした
この後に出た<本の姫>シリーズも思うところは色々ありますが面白いシリーズですよ
読みましたよ〜。最近ちょっとファンタジーものに興味が湧いているのですが、実はいーじすさんの影響だったりします。
本の姫も読んでみたいと思ってます。この作家さんはストロングスタイルで勝負できる稀有な人。