主人公アフランシがかつてのシャア・アズナブルの遺伝子データを元に復元された一種のクローンである事が過去の作品との関連性となっていますが、作品の中ではシャア≠アフランシとして描かれています。
もっとも、この作品がスタートした当時の一般的なシャア像と比べれば別人ではあるものの、後に制作された逆襲のシャアにおける程好くヘタレなシャアには割と近い気がする。
と言うのも、Wikiによるとこの作品の初期タイトルは「機動戦士ガイア・ギア 逆襲のシャア」だったそうですから、何をか謂わんやです。
それはともかくシャアとアフランシの一番の違いは、個人的にはマン・マシーン(この世界におけるモビルスーツ)にあると思うんだ。というのも、アフランシが駆るガイア・ギアというMMはなんとカラーリングが白。
逆に、選ばれた者達だけを地球に帰還させ新帝国の建設を目論む武装組織マハのパイロットにして、アフランシと色々と生臭い意味での宿敵となるウル・ウリアンが駆るMMブロン・テクスターはカラーリングが赤。
そう、色が逆なんです。
赤くないシャアなんて認められない!!
百式はどうなんだと言うと、ほら、あれはクワトロ・バジーナであってシャアではないから。
作品自体は偏った人種イデオロギーやら選民思想やらを掲げるどこかの第三帝国みたいな敵マハと、アフランシ率いる抵抗組織メタトロンとの戦いを描くと言うオーソドックスなスタイルですが、この作品で描かれたいくつかの要素が後の作品に反映されているのが興味深い。
例えば上記のアフランシと逆シャア版シャアの類似性をはじめとして、汚染された北海沿岸に大量に魚や鯨の骨が堆積しているシーンは、後にVガンダム第37話「逆襲ツインラッド」でも描かれています。
また、ヨーロッパ地区の不法居留者という設定もVガンダムで度々使用されており、こうした部分を探していくのもまた楽しかったりします。
また、ガイア・ギアのデザインが、腰アーマーを廃したりヒールが高くなっていたりと、00系のMSの原型かと思わせるスマートなデザインなのもポイント。
1話辺りのページ数が少ない雑誌連載だったためにやや展開の駆け足感は拭えませんが、ガンダム好きならやっぱり読んでおくべきタイトル。問題は絶版状態&作者に復刊の意思が無い事もあって、全5巻そろえるのはかなり至難の業である事か。
ガイア・ギア〈1〉 (角川文庫)
ガイア・ギア〈2〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
ガイア・ギア〈3〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
ガイア・ギア〈4〉 (角川文庫―スニーカー文庫)
ガイア・ギア〈5〉
読みたいです。
確かアフランシ、怖くて洩らしちゃうんですよね?
マハに発信機を仕込まれたんで下剤を飲むんです。
出した後のマンマシーン戦で漏らすんです。
『ガウッサ14番はシャア・アズナブルが占拠した』みたいな台詞を敵MMを奪って無線で言う、シーン的にとても燃える場面で、同時にそんなことになってしまうとてもナイスなエピソードです。
ただかっこいいだけのシーンにしないところが流石です。
漏らすシーンはmokoさんの仰るとおりです。あとMMの中で、故郷の恋人の事を思って自慰に耽るシーンもあります。こういうなんとも人間味のあるところがまたいいんですよね。
富野氏はこの作品の事を忘れたがっているみたいですけど、いつかアニメ化されたりしないかなあ。